■■■■「笑うこと」は腹式呼吸の健康法治療医学から健康増進の医学へ視野が広がる昇 1986(昭和61)年に読んだ、小さな新聞記事がきっかけになりました。エノケン※1の「最後の弟子」として知られる近■藤■友■二■氏が、「笑顔教室」を主催しているという内容の記事です。当時勤めていた医院はあまりに忙しく、看護師もとげとげしい雰囲気でしたので、こういう教室での接遇教育も必要だと考え、看護師に通ってもらうことにしました。すると、しばらくして、近藤氏から「笑うということは、どんなふうに健康によいのですか」という質問の電話がきて、「3カ月後に教室で話してください」と依頼されたのです。私は絶句しました。これまで病気を治すという治療医学はさんざんやってきましたが、「健康増進の医学」という発想はまったくなかったのです。しかし医学的に考えれば、笑薩■摩■隼■人■です。かたや大阪には、こういう会が■■■■■■■■■■■■■うことは、連続的に息をはき出すこと。腹式呼吸の変形といえます。それならば健康法になると考えました。当時はインターネットもない時代ですから、図書館に行って、「笑顔」や「笑い」の文献を調べ、猛勉強しました。そのなかで、関西大学の井■上■宏■名誉教授の著書『笑いの人間関係』に出会い、井上氏が主催する交流会に参加するようになったのです。昇 最初に参加したのは「笑■学■の会」。日本笑い学会の前身です。笑いが大好きな人たちが集まった異業種交流会でした。私は鹿児島県出身で、「人さまには笑われるな」といわれて育ったあったのです。教授や政治家など肩書きに関係なく、「ああでもない」、「こうでもない」とジョークのいい合いでおもしろいと思いました。とや。学会にせんか」という話になり、1994(平成6)年7月9日、日本笑い学会※2が創設されました。「泣(7)く(9)」の日に笑い学会。まったくの洒落ですよ。円(学生は5000円)でだれでも入会することができます。今年で創設30周年になりますが、会員数は1000人を超え、大学教授、医師、弁護士、僧侶、主婦、サラリーマン、学生など、職業も年齢もさまざまです。昇 を上げる」ということを、すばるクリニック(岡山県倉敷市)の伊■丹■仁■朗■医師とともに、大阪府大阪市にある吉本興業の劇場「なんばグランド花■月■」で実験しました。がんで闘病中の患者を含む計19人に、吉本新喜劇を見て、3時間笑ってもらうという実験です。結果として、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が非常に活性化するというデータが得られました。細胞を攻撃するリンパ球の一種で、NK細胞交流会が続いていくうちに、「洒■落■でもとも学会は、笑いに関心があれば、年会費1万1990年代ですが、「笑うことは免疫力NK細胞は、がん細胞をはじめ異常のある―昇さんは、麻酔科医、産婦人科医として働きながら、「笑い」の医学的効用について研究をされてきたとうかがいました。そのきっかけについて教えてください。―井上氏は「日本笑い学会」の初代会長ですね。同学会創設の経緯や活動内容について、お話しいただけますか。具体的に、どのような研究をされてきたのでしょうか。―「笑い」がもたらす健康効果について、2024.12※1 エノケン……榎■■本■■健■■一■■(1904ー1970)。俳優・歌手・コメディアンとして活躍※2 日本笑い学会ホームページ https://www.nwgk.jp/index.html産婦人科医/日本笑い学会 副会長昇 幹夫さん
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