エルダー2024年1月号
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失が肯定される可能性は高まっていくことにつながるでしょうし、過去には過労死を生じさせるほどの長時間労働が生じていた企業について、長時間労働の状況が取締役らにより容易に把握可能な状況であったにもかかわらず、これを防止する措置がとられなかったこ1自社で定年を迎えた労働者であれば、定年後の継続雇用制度の対象となるため、退職事由や解雇事由がないかぎりは、継続雇用を希望する労働者との労働契約を終了させることはできません。他方で、高年齢者雇用安定法が定める継続雇用制度の対象者は、自社において雇用するとなどもふまえて、取締役らの個人の責任を肯定した裁判例(大阪高裁平成23年5月25日判決、上告棄却及び不受理にて確定)もあるため、労働関連法令の違反については、会社全体で適法性を確保できる体制づくりを維持することも重要です。労働者にかぎられるため、他社で定年を迎えた者まで、継続雇用制度の対象として希望されたら雇用しなければならないというわけではありません。したがって、定年を超えた年齢の労働者から応募があったとしても、通常どおり書類選考や面接の対象としたうえで、採否を決定すればよいということになります。継続雇用の対象も当然増えていると思いますが、他方で、人口全体の高齢化が進んでいる状況ですので、定年を迎えた会社以外で働くことを希望する高齢者や65歳以降は別の会社で雇用されるようになるといった状況はこれからも増えていく可能性があります。ている場合に、継続雇用対象者用の就業規則や退職金規程を設けていることがあります。特に退職金については、定年時に支給をしている前提ですので、退職金は支給しない旨を明記していることが一般的でしょう。退職金規程において、対象労働者の定義をどのように定めているでしょうか。例えば、「会社を定年退職し、継続雇用の対象となった労働者」といった定義にしている場合、ここでいう「会社」は就業規則上自社のことをさすと定義されているでしょうから、定年を超えた年齢で採用した労働者は「会社を定年退職」したわけではないため、この継続雇用対象者用の就業規則の対象とならない可能性があり、その場合に、正社員の就業規則などが適用される可能性があります。2定ろ、当該労働者に退職金の支給を定めた規定が適用されるか否か、退職金を請求することができるか争いになった事件(大阪高裁平成定年を迎えた労働者を継続雇用の対象としところで、継続雇用対象者用の就業規則や年年齢を超えた労働者を雇用したとこ定年を超えた年齢の人材を採用した場合の退職金の取扱いが知りたい退職金制度について、自社で定年を迎えた労働者以外も除外するような内容となっているか、確認しておくことが適切です。求人をしていたところ、定年となる年齢を超えた人材から応募がありました。定年後の再雇用もしていることから年齢的には採用可能と考えていますが、留意すべき事項はありますか。退職金制度に関する裁判例Q2高齢者を採用するときの留意事項2024.146A

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