9年10月30日判決)があります。この事件において、会社は、退職金について、「従業員が退職したときは退職金を支給する。但し、勤続年数が3年未満の者には支給しない」という内容と、計算方法として「基本給×勤続年数÷2」を就業規則に定めていました。事件の当事者となった労働者は、勤続年数が3年を超えていたことから、退職金の請求が可能であるとして、退職金を会社に対して請求しました。会社としては、通常であれば定年時に退職金を支給しており、定年を超えて採用された労働者は退職金の対象とならないと反論しました。裁判所は、「被控訴人(筆者注:会社)が平成六年一二月一五日付で制定し労働基準監督署に届け出た本件就業規則は、規定の上で、適用対象を正社員に限定しておらず、高齢者を適用対象とする就業規則が別に制定されていたものではなく、又、被控訴人がそれ以前に制定し労働基準監督署に届け出ないまま事実上使用していた旧就業規則でも、規定の上で、適用対象を正社員に限定せず、高齢者を適用対象とする就業規則が別に制定されていたものでもなかった」ことを理由に、高齢者を区別していなかった以上は、定年を超えて採用された労働者であっても就業規則の適用を受けると判断しました。さらに、「就業規則には高齢者に退職金を支給しないという明文の定めがなく、勤続三年未満の者には退職金を支給しないとの定め以外の適用排除規定が見当たらず、退職金は基本給と勤続年数を基礎にして算出される定めとなっており、控訴人についても右定めによって退職金を計算することが可能であること」や定年年齢を超えた採用であったことから「退職後の支給であるため年金を受給しつつ労働を続けるために賃金や諸手当を低額に抑えるという要請を受けないこと」などから、退職金の規定を適用できないと解すべき根拠がないと判断されています。結果として、60歳の定年年齢を超えてから採用した従業員に対して、退職までの勤続年数約7年に相当する退職金を支給するように命じられるという結論になりました。このような事例は特殊であるように思われるかもしれませんが、そうともいいきれません。自社の就業規則について、定年後再雇用者はどのような定義になっているか確認しておくべきでしょう。嘱託社員などと呼ばれることも多いですが、その定義は、「会社を定年退職し、継続雇用の対象となった労働者」などとされているのではないでしょうか。このような定義で適用範囲を定めていた場合に裁判例のロジックにしたがえば、嘱託社員用の就業規則や賃金規程では退職金を支給しない旨定めているとしても、自社を定年退職することなく採用した従業員は嘱託社員就業規則および賃金規程の適用を受けるものではなく、正社員の就業規則の適用を受ける可能性があります。職金の支給を受けたわけでもなければ、賃金や諸手当を低額に抑える要請を受けるものではないという点も共通することになりますので、退職金を支給する対象になり、想定外の状況になりそうです。員就業規則が適用される範囲について、自社を定年退職した従業員だけではなく、定年年齢を超えて雇用された労働者も対象にしたうえで、退職金の支給がない旨を明記しておくといった対応をしておく必要がありそうです。そうなると、裁判例が述べている通り、退このような事態を避けるためには、嘱託社47エルダー知っておきたい労働法AA&&Q
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