エルダー2024年1月号
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が多いですか。狩野 「生涯現役」というキーワードでのリクエストは非常に多いですね。生涯現役で働くためには、40代、50代ぐらいから健康教育を積極的に取り入れることが必要です。高齢になっても健康を維持できるよう、早い段階から取組みを進めようとするのが、企業や健康保険組合の基本姿勢です。会社によっては、毎年35歳の従業員に対し、健康管理研修などを行っているケースもあります。やはりヘルスリテラシーが高い人と低い人とでは、生活習慣も日常の食品の選び方も、睡眠に対する意識も違います。従業員の健康習慣を変革し、高いパフォーマンスを保って、生涯現役で働いてもらおうとする意識が高まっているようです。高齢者の再雇用について見ると、パートタイムの肉体労働が多いという印象があります。関連会社やグループ会社がある大手であれば、高齢者に適した仕事を用意できるかもしれません。しかし地方の中小企業などでは、新しい労働力を集めるのがむずかしく、65歳以上の人でも、若手と同じ労働現場で働き続けることを期待されるケースも多くなります。そういう状況のなか、自分の健康状態をいかに維持していくことができるか。それが生涯現役で働き続けるための重要なテーマになりますね。企業側、労働者側双方に健康に対する共通認識を持ってもらうため、橋渡しをするのが私たちの仕事で、そこに意義を感じています。1回といった形で、オンラインフィットネスを行う場合だと、参加者の変化がとてもよくわかります。はじめのうちは、画面に自分を映さないようにしていた人が、積極的に手をふってくれたり、明らかに元気になって、表情が豊かになってきたり。運動することによって、表情や体の可動域、そして日常生活自体も変わっていくことに、喜びを感じます。ぜひ、もっとやってほしいという感覚があります。とき、お客さまとして来るのは基本的に健康意識の高い人たちで、本来一番かかわらなければならない「健康に無関心な人たち」へサービスが届かないことに、問題意識を感じていました。ヘルスリテラシーを高め、日本全体の健康レベルを高めていくためには、多くの人が所属する「企業」というコミュニティに情報発信することが必須だと強く感じています。健康、運動に対する優先度の低い人は、自分ではなかなか取り組まないので、就業時間内に短い時間でも、健康体操などを導入し、文化として根づかせることが必要です。企業の経営者や担当者には、生涯現役の人を増やすための大事なコミュニティを運営されているという意識を持って、健康増進の施策を取り入れていただきたいですね。水野 ―企業の健康経営が、生涯現役社会の実現に果たす役割について、考えをお聞かせください。狩野 スポット的ではなく定期的に、例えば週自分がパーソナルトレーナーをしていた(取材・沼野容子)就業時間内で運動を!企業の取組みが日本の健康レベルを上げる―高齢者が長く働いていくためには、「健康」がカギになるということですね。狩野 ―健康状態を維持していくため、オンラインフィットネスなどの効果について教えてください。49看護師・ヨガトレーナーの水野英美さん(写真提供:ウェルネスドア合同会社)ウェルネスドア合同会社代表の狩野学さん(写真提供:ウェルネスドア合同会社)エルダー生涯現役生涯現役を支える支えるお仕事お仕事

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