エルダー2024年1月号
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毎年10月は最低賃金の改定に注意最低賃金の確認は必ず行う秋になると最低賃金に関する話題が報道されたり、駅などで周知ポスターを見かけることが多いかと思いますが、これは毎年10月1日〜中旬にかけて地域別の最低賃金が改定されることに起因しています。最低賃金は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその金額以上の賃金を支払わなければならない制度です。2023(令和5)年時点では、時間額(時給)で定められています。最低賃金法の第一条には目的として次のように記載されています。「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」傍線部分が目的に関するキーワードですが、低廉な労働者に該当しない賃金全般の引上げも目的に含まれるといわれています。この目的に沿って、最低賃金には二つの種類が設けられています。①地域別最低賃金…産業や職種にかかわりな②特定最低賃金…「地域別最低賃金」よりも金高い方を適用する必要があります。例えば、2023年10月時点では、①東京1113円に対して、②東京・鉄鋼業871円のため、①1113円を適用することになります。②はあまり意識されていないかもしれませんが、自社が特定産業に属するか否かをチェックする必要があります。〜9月の時点には改定額が各都道府県で発表されるため、そのあたりから自社の賃金が改定後の最低賃金を下回らないか確認を行い、必要に応じて賃金を見直す必要があります。最低賃金を下回るとその賃金は最低賃金法により無効となり、最低賃金額と同額の定めをしたものとして扱われます。また、最低賃金までの差額の支く、都道府県内の事業所で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されるもの。各都道府県別に定められている。毎年改定される。額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める特定の産業について設定された最低賃金。毎年は改定されない。①と②の関係性ですが、両者を比較してみて最低賃金の改定時期は10月ですが、毎年8月2024.150 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之「最低賃金」第42回■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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