エルダー2024年1月号
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■■今後も最低賃金は上昇し続ける払い、50万円以下の罰金が求められます※1。このほか、労働者のモチベーション低下や流出、採用難などを引き起こしかねません。確認を行うにあたり、ここでは必ず押さえるべき基本的な点についてみていきます。・適用範囲…すべての労働者。正社員・パート・アルバイト・嘱託等の雇用形態や呼称にかかわらず適用※2・適用都道府県…労働者が実際に働いている事業場がある都道府県。派遣労働者の場合は派遣先の都道府県・対象となる賃金…毎月支払われる基本的な賃金。ただし、「臨時の賃金(結婚手当等)」、「賞与等」、「時間外勤務手当」、「休日出勤手当」、「深夜勤務手当」、「精皆勤手当・通勤手当・家族手当」は除外・確認方法…自社の全労働者の時間額(時給)が最低賃金未満とならないかを確認。日給制の場合は1日の所定労働時間、月給制の場合は月平均所定労働時間で割って時間額を算出したうえで比較・賃金見直し方法…最低賃金未満の労働者の時間額を最低賃金以上に設定。ほかの労働者もあわせて引き上げる必要があるかを検討最低賃金は時間給で定められているため、月給処遇者の確認を疎■かにしがちです。特に、一定期間昇給をしていない正社員や、定年前よりも一定程度給与を引き下げられた再雇用者については、時間給を算定してみると最低賃金未満であるケースが実際にみられたりしますので、注意が必要です。詳しくは、厚生労働省のWEBサイト※3にわかりやすく網羅的にまとめられているので、参照してみてください。地域別最低賃金と特定最低賃金の一覧もこちらに掲載されています。2023年10月の改定では、全国加重平均額が1004円となり初めて1000円を超えたと話題になりました。また、図表の通り最低賃金は毎年右肩上がりで、前年に対する上昇額もここ10年は20円〜30円程度で推移していたものが、本年は43円の上昇額でした※4。地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費や賃金、通常の事業の賃金支払い能力を考慮して、最低賃金審議会の議論・答申に基づき決定されますが、その議事録をみると、近年の物価の上昇や景況感、賃金上昇における国際比較や人手不足などの社会的な課題などを含めて議論がされています。これらの課題が今後も大きく変わる想定がしにくい点や、※1 特定最低賃金を下回る場合は、労働基準法により30万円以下の罰金※2 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方など、使用者が都道府県労働局長の許可を得ることを条件に、特例が認められる場合がある※3 https://pc.saiteichingin.info/point/page_point_what.html※4 2020年は、新型コロナウイルス感染症による景況の悪化などを背景に、全国加重平均は1円上昇岸田首相が2023年8月に開催された「新しい資本主義実現会議」で〝2030年代半ばまでに全国加重平均で1500円を目ざす〟と明言している点などを考慮すると、今後も同等以上の上昇額で上昇することが容易に想定されます。は経営に影響を与えるものではありますが、今後も避けて通れないことはほぼ確実なため、対応し続けることができる経営基盤づくりが求められることになります。解説します。企業側の立場になると、最低賃金の大幅上昇次回は、「タレントマネジメント」について51※ 厚生労働省「平成14年度から令和5年度までの地域別最低賃金改定状況」を基に筆者作成全国加重平均額上昇率エルダー図表  最低賃金(地域別最低賃金 全国加重平均額・時間額 2013年〜2023年) 1,000800600400200(円)1,200798764780201320142015201620172018201920202021202220230(%)10.01,0049.08.07.06.05.04.03.02.01.00.0(年)(年)874901902930961848823■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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