池い口ぐ武た志し7けちけ一般社団法人定年後研究所理事/所長働く高齢者の増加とワーク・ライフ・バランス総務省の「労働力調査」によると、2022(令和4)年では60代後半で2人に1人、70代前半でも3人に1人が仕事に就いており、生涯現役時代は現実のものになりつつあります。人口減少社会のもと、人手不足が加速するなかで、労働力の供給源として高齢者への期待感は増すばかりです。筆者は都内の事業所に毎日通勤していますが、通勤電車のなかには、スーツを身にまとった高齢の乗客がかなり増えてきたと感じています。では、定年後も活き活きと仕事を続けている人はどんな人なのでしょうか。筆者は、2022年〜2023年にかけて「定年前後期でキャリアチェンジを果たし、定年後も活き活きと仕事を続けている人」の特徴を調べるインタビュー調査※1を実施しました。その結果として、「社会貢献意欲が満たされていること」、「天職といえる仕事で周りから必要とされていること」に加えて、「無理のない主体的な仕事スタイルを確立していること」が大きな共通点として浮かびあがりました。新たな職場は自治体やベンチャー企業、社会福祉法人、NPO法人、日本語学校などさまざまでしたが、就業形態は、フルタイム雇用ではなく、短日・短時間勤務、非常勤職員、個人事業主など自己裁量が利く立場で活躍されていることが印象的でした。2023年11月、一般社団法人定年後研究所と株式会社ニッセイ基礎研究所は、中高年の女性会社員を対象に「働く意識や実態」を幅広い視点で共同調査しました(2024年公表予定)。速報ベースですが、自身の健康面で「持病はない」は32%に留まり、多くの方がなんらかの病気や症状を抱えていました。介護に関しては、「現在介護中」が10%、「過去に介護経験あり」が20%、「将来介護負担が生じる」が36%と、多くの方が介護と仕事の両立を迫られています。高齢期に働き続けるうえでの会社への要望としては、勤務時間や勤務場所の融通、短日・短時間勤務といった「柔軟な勤務環境」が上位に並びました。ちなみに、老後のお金をまかなう手立てとしては「出来るだけ長く自分が働く」が40%近くを占め、「支出抑制」の13%を大きく上回る結果となりました。今回の調査は中高年女性が対象でしたが、中高年男性も類似の意識や実態を持っているのではないでしょうか。 きと仕事を続けていくうえでは、柔軟な勤務形態を主体的に選択できることが重要と考えられこれらの結果から、高齢者が定年後も活き活※1 池口武志・杉澤秀博「50〜60代会社員のキャリアチェンジのプロセス〜大企業のホワイトカラー職種(管理職)出身者を対象として〜」、『老年学雑誌』第14号に掲載予定(2024年3月発行予定)特集シニア世代のワーク・ライフ・バランスエルダー総論総論高高齢齢者者のの多多様様なな働働きき方方ととワワーークク・・ラライイフフ・・ババラランンスス
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