理念や行動規範を定着させるにはくり返し実践することmile&Sexy」を掲げています。これについては、明確な定義があるわけではないのですが、いろいろな推奨行動を定めています。「Smile」の推奨行動は、個の尊厳を尊重する、他者と向き合い個と個の関係性をつくるなど、いわば社会性のある行動をしよう、ということです。「Sexy」の推奨行動は、自分の意見を表明すること。つまり、意見の相違があればしっかり議論をしていこう、という文化です。ここには自己開示や自己表現といった、自分らしさをアピールすることも推奨行動に含まれます。そして、「『個』の尊厳を『組織』の尊厳より上位に置く」、「『個』の多様性を重視し尊重する」ことを宣言して、これらを実現するためにさまざまな取組みを行っています。そして、「人財力が成長エンジン」という認識のもと、まさに人的資本経営を実践している会社です。人間集団である企業が価値を生むためには、組織メンバーが生命体として活力を持ち、個の力を伸び伸びと発揮することが、その要件であるという考え方です。コミュニケーション施策の事例として、社員間については、「遠慮のない徹底した議論」を行っています。また、「トップが社員や求職者に向き合って発信する」、肩書きで呼び合わずに「さんづけで呼ぶ」ことなどを実践しています。社長に対しても「さん」づけです。それから、「目標、なりたい自分の開示」、リアルイベントの開催、コロナ禍ではWEBや社内SNSを活用し、いろいろなレベルで交流が深まるような仕組みを模索して行いました。また、法違反などを通報するヘルプライン「物語あんしん相談室」とは別に、いろいろな相談ができる機能を備えた相談室を開設しています。お客さまに対しては、「明るく元気に」を基本として、「カジュアルで自然体な接客」、「おせっかい」といった姿勢をモットーとしています。また、ダイバーシティ&インクルージョン宣言を行い、そのなかでシニアの活躍推進や、パートナー(短時間社員)活躍推進についても明記しています。このような理念を追求した結果、非常に業績がよく、コロナ禍の2020(令和2)年6月期を除くと、17年連続で増収増益となっています。また、セクシュアルマイノリティへの職場での取組みを評価する「PRIDE指標2022」※1で最高評価のゴールドを受賞し、ゴールドの受賞は4年連続となっています※2。そのほか、数年前に役員と社員の適性検査(SPI)を任意で実施したのですが、日本の大手企業などでは幹部社員はほとんどが「従順性が高い」という結果になるとのことですが、当社では逆で、従順性は低く、「批判性が高い」という傾向があることもわかっています。る理念や行動規範を内面化していきます。組織メンバーに内面化されていない理念や行動規範は、言葉だけに終わりますので、理念や行動規範、共通認識などを定着させるには、くり返し実践することが必要であると強く思います。間のコミュニケーションが正常に行われていないと非常にむずかしいと思います。立場を超えて、何気ない会話が自然に行われている状態が、その土台になると私は思います。れて行う義務感からの「報・連・相」は、上司への忖度や、標準化の遅れの要因となり、自然なコミュニケーションの障害にもなることもあるので、「報・連・相」のあり方について、しっかりと議論・検討する必要があるのではないかと思います。人は、行動や体験を通して、外部に存在すそして、組織が機能するためには、メンバーまた、これは問題提起ですが、上司に求めら※1 PRIDE指標……職場におけるセクシュアルマイノリティへの取組みの評価指標※2 本シンポジウム開催時点。2023年もゴールドを受賞し、外食産業で初となる「レインボー」の認定も獲得した9エルダー特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜
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