一人の問題行動が大きな影響を及ぼすこともグループ支援、組織支援も重視疲労をコントロールして必要なコミュニケーションをらくて悩む」というような、さまざまな人間関係の悩みというのがあります。働いているポスト団塊ジュニア世代とZ世代の共通項目として、なんらかの形で睡眠が関係していることが多くあります。若い方は体力もあるので、少しくらい寝ていなくても大きな変化を感じないことが多いのですが、深刻な悩みを相談に来る若者の場合は十分に寝られていないと感じることがあります。ポスト団塊ジュニア世代は、「睡眠時間を削ってでも働く」といった場合もありますが、「睡眠不足は脳の疲労」ともいわれるように、疲労が蓄積されてくると人間関係にも影響します。「人間関係の相談が一番多い」と先ほど説明しましたが、一方で、体力が回復すると、人間関係が改善することもあります。「健康優良企業」という言葉が生まれ、一人ひとりの生産性向上やハラスメントの防止、休職者を減らそうという取組みをする企業が増えています。相談を受けていると、「一人の社員の問題行動が組織に大きなインパクトを与える」というケースがあります。一人の問題行動が組織の分断につながり、それが原因となりほかの休職者が出たり、業績も上がらないことがあります。こうしたケースをEAPで支援するケースもあるのですが、一人の問題行動が組織や職場に大きな影響を与えるケースでは、個人支援だけではなく、グループ支援、組織支援の三つの領域で支援を行い、そこで働く人たちを、どう活き活きと機能させていくか、というお手伝いをすることが多くあります。また、EAPを導入している企業に目を向けると、事業場外の資源の相談窓口を設けている企業はあるのですが、〝働いている人への投資〟という側面で見ると、決して多いわけではありません。一方で、私がかかわることの多い外資系の会社では、こうした部分にしっかりと投資をしており、相談窓口の利用率も高いなどの傾向があります。投資効果についてはいろいろな統計がありますが、会社の成長のステージに合った投資の仕方や働く方の支援の仕方を実施するのがよいかと思います。職場で重要なコミュニケーション、対話としては、まず仕事の「インプット」、次に仕事の「プロセス」、そして仕事の結果に対してどんな「アウトプット」があり、それに対してどんな「フィードバック」が組織や個人にかかっているのか、適切なサイクルの維持が大切です。「部下は期待通りの仕事ができているか、いないか」の問題は、75%がインプットにあるといわれています。「わかりやすく正確な指示が出せているか」は、上司と部下の対話で生じやすい大きな課題の一つといえます。マンスに影響を与えることもあり、それぞれの社員が抱える「個別事情」もあります。先ほどの「インプット」、「プロセス」、「アウトプット」、「フィードバック」と合わせて、この六つの点でしっかりとコミュニケーションをとっていくことが重要です。には、「さまざまな準備をして、しっかり体制を整えているのにうまくいかなかった」という方もいます。そういう方のお話を聞いていると、なんらかの疲労があることが多いのです。体力の疲労はわかりやすいのですが、気持ちや感情、脳の疲労はわかりにくいですね。そういう意味では、自分のメンタルの状況を把握するとともに、しっかりと疲労をコントロールして、必要なコミュニケーションを確実に行っていくということが大事だと思います。そのほかに、「職場環境・制度」がパフォー最後になりますが、相談に来られる方のなか13エルダー特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜
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