くんントなどはもってのほかで、むしろ積極的にケアしていく必要があります。つまり、行動と存在を切り分けて考えて、存在については積極的にケアしていき、一方で行動については、職務として必要な行動を遠慮なく求めていくというのがあるべき姿勢です。私はよくそのようにアドバイスをしています。亀田 存在を受け入れて、そして、指示は具体的、定量的にということですね。それを行ううえでの注意点はありますか。西川幸孝 存在と行動を切り分けて考えるということを組織の共通認識にすることです。それはトップにしかできないことです。そして、上司部下の関係であれば、上司から声がけする、上司からあいさつするということです。共通認識づくりと実践の両面の努力が必要ですね。亀田 ありがとうございます。続いて前川先生、いかがでしょうか。前川 ハラスメントが起こりやすい職場の特徴として、上司と部下のコミュニケーションが希薄であることがあげられます。ですから、この質問はとても重要で、この状態を放置しておくと、逆にハラスメントが起こりやすい職場になってしまうというリスクがあります。そういう意味では、一歩ふみこんで、シニア世代が若い世代とコミュニケーションをしっかりとっていくことが大事だと考えています。とり方としては、若手が長けたコミュニケーションツールにシニアが合わせていくこと。私自身がやってみたところ、実際に若い世代との関係性が深まり、リアルの場でも良好になっていくことを感じました。まずは、コミュニケーションツールを若手側に合わせて実践してみることではないでしょうか。コミュニケーションの中身は、傾聴から入ることがとても大切です。ただ、シニア世代が自分の話をしてしまうのであれば、できるだけ失敗談を語ってほしいなと思っています。過去の失敗談は、興味を持たれることが多いですし、若い人に役立つと思います。亀田 具体的な方法をありがとうございます。西川あゆみ先生、お願いします。西川あゆみ 一般的にシニアの方は、経験があり、言葉の幅もあって、コミュニケーション能力が高いと思っています。いろいろな方のお話を聞いていると、その一歩がふみ出せないような状態というのは、健康の問題や環境の問題などがあるのではないか、いろいろな忖そ度たとかバランスをとりながら悩んで、一歩がふみ出せないのではないかと思います。そういった相談に対しては、一緒に状況を確認しながら、対応方法について考えていくようにしています。亀田 そのアプローチについて、専門領域のお話から具体的な方法まで幅広くご紹介いただきましたので、各職場での実践や、今後の施策に盛りこんでいただけたらと思います。健康長寿が保たれるといわれます。働くことは苦役だというとらえ方もありますが、本日いろいろなお話をご紹介いただいて、そういった認識とは違い、もっと長く元気でいられる職場、そういった居場所というとらえ方もあると思いました。そうしたとらえ方が、ひいては、高齢労働者の労働災害防止に役立つかもしれませんし、だれもが避けられない加齢現象にともなう心身の機能低下で生産性が下がることに対するカバレッジになるかもしれません。先生方、まことにありがとうございました。本日は、3人の先生方から新しい視点と最後に一つ。生涯現役を目ざすことにより、WorkWay株式会社 取締役会長、CEAP、MRI、一般社団法人国際EAP協会 日本支部 理事、一般社団法人メンタルレスキュー協会 理事西川 あゆみ氏17
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