エルダー2024年2月号
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全事業所にウェルネスリーダーを置き社員が主体的に活動できる環境をつくるウェルビーイング向上のポイントは社員や職場の主体性を引き出すこと「PMS(月経前症候群)で仕事に集中できず悔しい思いをした」という社員が、「フェムテック(女性の健康を支援するテクノロジー)で負担を軽減できるなら、同様の悩みを持つ女性のためにできることを考え取り組んでいきたい」と発信したことから、共感する社員でチームが生まれ、2021年から翌年にかけて、社会のさまざまな方と連携し、いくつかの施策を実践しました。そのうちの一つは、新宿丸井本館で1カ月間開催したフェムテックイベントです。1000人以上のお客さまが来店されて、フェムテックブランドに参加してもらい、どんなテクノロジーがあるかを知ってもらうイベントで、みなさまから「もっと多くの人に知ってほしい」などと好評のお声をいただきました。社内に向けた取組みでは、2013年から全事業所にウェルネスリーダーを設置し、女性特有の健康課題のサポートに各事業所が主体的に取り組む活動を行っています。ウェルネスリーダーは年4回会議を開催し、勉強会を行います。そして、各事業所でウェルネスリーダーが中心になって、子宮頸がんや乳がんの情報共有会ができたり、店舗に乳がん触診体験コーナーを設けるなどの啓発活動が行われたりしています。こうした取組みにより、乳がん検診・子宮頸がん検診の受診率は少しずつ高まっています。そうしたなかで、公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会が主催する「女性の健康検定Ⓡ」(★)を全社員の7人に1人が自発的に受験し、資格を取得するまでとなってきています。そのほか、健保スタッフが窓口で気軽に相談を受けるといった、地道な活動を継続しています。こうしたさまざまな取組みにより、乳がん、子宮頸がん検診の受診率は少しずつ上昇してきて、日本の平均より高い水準になりました。加えて、2023年からオンライン診療によるPMSの治療をトライアルとして導入しました。また、男性を含む全社員に対し、セミナーを充実させていく取組みを進めています。このような支援プログラム導入の費用対効果ですが、試算によると、月経支援だけで1200万円超の労働力損失改善が見込まれ、非常に大事な取組みであると考えています。ウェルビーイング経営では、多様性を活かす組織風土づくりも大事な取組みであり、例えば、男性育休取得率は5年連続で100%を達成することができています。さらに近年は、性別にかかわらず活躍できる企業文化に向けて、性別役割分担意識を見直すことに共感する人の割合を増やしていくための活動も推進しています。023年に健康測定や転倒防止、更年期障害などをテーマにしたセミナーを開催しました。参加者に参加動機をたずねると、最も多いのが「おもしろそうだから」という回答でした。こうした企画には「おもしろそう」、「楽しそう」といった要素が大事なのだと実感したところです。業の成長」を掲げています。2012年より、社員のウェルビーイング指標を測定しているのですが、「自分が職場で尊重されていると感じる」、「自分の強みを生かしてチャレンジしている」と感じている社員が、10年間で大幅に拡大しています。まだ課題はありますが、離職率も約3%と低水準で推移しています。き続けられるかどうかは、企業にとっての経営課題と考えます。その主役は、経営トップと社員です。産業保健スタッフがサポートに努め、社員自身や職場の主体性を引き出すことが取組み推進のポイントだと思います。また、シニア社員の活力アップを目的に、2当グループでは、経営理念に「人の成長=企性別、年齢にかかわらず、だれもが輝いて働★「女性の健康検定®」は公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会の登録商標です。21エルダー特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜

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