講演■■■■■■男性中心の社会的構造下で懸念される働く女性の健康、役割負担令和5年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム組織における課題「女性社員のウェルビーイング向上〜エイジレスなキャリアと健康支援」株式会社健康企業代表、医師、労働衛生コンサルタント 亀田高志私は産業医などの経験を経て、現在はよろず相談のような形で、さまざまな場で職場の健康管理を含む、個人的な問題や組織の問題に対応する仕事をしています。本日は、シンポジウムのテーマである「女性社員のエイジレスなキャリアと健康支援」について、組織における六つの課題をお話ししたいと思います。第一の課題は、現在でも男性中心の社会的構造であることです。実際に女性の登用に不満をもらす男性幹部もいて、取組みのなかで障害になる可能性もあると感じています。これに対して、内閣府が推進する「女性版骨太の方針2023」で、女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取組みとして、「プライム市場上場企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標の設定等」が打ち出されました。例えば2025年を目途に女性役員を1名以上選任する、2030年までにその割合を30%以上とすることなどが謳われています。これに関連する「日経x■woman」の記事によると、東証プライム市場上場企業1837社の時価総額ランキング上位500社で、2022(令和4)年7月時点で女性取締役は34歳から84歳までの方がおり※1、その約半数は更年期症状の表れやすい年代にあたります。取締役として重責を負ってご多忙だと思いますが、体調の問題を抱えながら苦しまれている方もいるのではないかと想像されます。しかし、経営視点で見たときに、その部分を配慮してもらえない可能性があることが懸念されます。第二の課題は、「ライフイベントとキャリア」です。妊娠、出産、子育て、介護について、性別の役割負担の認識に違いがあり、例えば介護は女性がになうケースが多いのです。「女性版骨太の方針2023」でも、仕事と介護の両立に関する課題があることが明示されています。※1 https://woman.nikkei.com/atcl/column/21/072500094/082400008/エイジレスに働いた場合は、50代、60代となると、親御さんの介護が必要になってくると思います。内閣府の「男女共同参画白書平成25年版」によると、女性は、配偶者の父母の世話をする人がそして、「こうした介護負担は特に女性の労働供給に影響を与えている」としています。また、2022年の厚生労働省「雇用動向調査結果」によると、介護を理由とした離職は、どの年代でも男性より女性の方が多くなっています。「エイジレス」という視点でみた場合、女性の介護離職は男性以上に大きな問題ということです。17・2%ですが、男性はというと0・3%です。10月19日開催
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