価値創造としてのウェルビーイング取組みの背景と風土の変化なっています。それにともない、女性社員の上位職志向が30%ほど上昇するという変化がありました。女性リーダーを増やすという施策はしていないので、全体的な施策を行っていくことが大事だと思っています。ただ、最近は女性の上位職志向が鈍ってきており、そのボトルネックが性別役割分担意識なのではないかと仮説を立てて、現在取り組んでいるという状況です。芥川 丸井グループのウェルビーイングは、経営戦略であるということをご発表のなかで強調されていましたが、経営者が一人で旗ふりをしても、うまく進まないと思います。スタート当初は、どのような様子だったのでしょうか。小島 企業で人的資本経営やウェルビーイングに取り組むというときには、「企業の価値創造のためにそれが必要なのだ」というストーリーがあることが大切だと思います。当社の場合は、バブルが崩壊して、流行の物を置けば売れるという時代が終わったときにさかのぼると、そのころまでは上意下達の企業風土がありました。それを変革しないと会社が潰れてしまうという危機感から、自ら考え行動する自律的な企業風土をつくることが経営存続の喫緊の課題となったのです。必要な経営戦略として文化の変革に取り組み、並行して全社向けの施策を進めてきました。「なぜウェルビーイングが必要なのか」は、企業の価値創造の文脈に照らして考えていく必要があるのではないかと、実務を通じて感じています。芥川 ありがとうございます。先ほど、推進する取組みの一つに、性別役割分担意識についてのお話もありました。どのような取組みでしょうか。力を入れてきたことは、役員、上位職者小島 のアンコンシャス・バイアスの研修です。「『モデル』というと女性を思い浮かべる」とか、「男性が一家の大黒柱だと決めつけて見られる」といったアンコンシャス・バイアス、無意識の偏見は、いろいろな人を生きにくくしてしまいます。そういうことを、性別にかかわらず、すべての人のために共有することを大事にして取組みを進めています。芥川 がでしょうか。亀田 なのでなるべく早く辞めたい」ということもけっこう根強くあると思います。辞めたくなるのはおそらく、上意下達の職場で、嫌なことは飲み込んで、男性中心で女性は調子が悪くてもいえない、そんな職場を想像します。い状態であると自覚できるか」ということです。働き続けられるかぎり働くことは好ましくないのか、とセミナーで私はよく問いかけます。その答えとして用意しているのが、長く社会とかかわったほうが、おそらく元気は保てるし、病気になってもがんばれるし、ひょっとしたら寿命も延びるかもしれません、という話です。理は仕事とは違う頭を使ったり、食べてもらう相手が喜んだり、美味しいという様子は、人としてありがたいご褒美にもなるんですね。それらをくり返すことで、これまで男尊女卑的な家庭で非常に硬直した感じだった夫婦関係にさまざまな変化が起きうるのではないか。そんなことも思いますので、少し中長期的な視点で発信し続けることも必要ではないかと考えます。ありがとうございます。亀田先生、いか共通する感覚として、「働くことは苦役しかし、ウェルビーイングの考え方は、「よ例えば「家事は苦役か」と考えてみると、料株式会社丸井グループ 取締役CWO (Chief Well-being Officer)、専属産業医小島 玲子氏27エルダー特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜
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