どう働きたいかを一緒に考えながらシニアの働き方、生き方をサポートどういう企業でありたいかそのことが問われている時代一つの施策を進めるだけではなく、多面的なアプローチや見方を提示しながら、いわば立体的に、社内、あるいは事業を行うなかで浸透させることが大切だと思います。芥川 たしかに多面的、立体的アプローチ、また、中長期的に考えるということが、キーワードになるように思います。ありがとうございます。芥川 東川先生が発表された東急ストアの事例で、体力テスト、認知力テストを導入されたというお話がありました。従業員の方のモチベーションの変化などはありましたか。東川 体力テストについては、やってみて機能が低下していることにご自身で気づいて、回復するようにがんばるというケースは多いと思います。認知力テストに関しては、「試されている」と受けとめてしまうのか、非常に不評というのが実際のところです。現在は、日ごろの働きぶりを上司がしっかり見るということに重点を置いています。健康支援で重要なのは、「どう働きたいか」ということを、一緒に考えることだと思います。高齢になると、例えば、パートナーが突然亡くなるというような、ライフイベントが起こります。思わぬことが起きたとき、一人で考えるのはむずかしいので、シニアの働き方、生き方をどうサポートしていくか。どこまでが産業医の仕事かは悩ましいところですが、何かサポートできる体制があるとよいと思います。芥川 ありがとうございます。長く働いていくうえでの健康支援について、あわせて配慮すべきことがありましたら教えてください。東川 年齢が高くなると基礎疾患が増えてきますので、その管理が重要になります。病院に行くことで休日が終わってしまうような方もいるので、仕事をしながら時間が確保できるように、会社が配慮することが必要だと思います。また、それぞれの事情や多様性を理解したうえでのメンタル面でのサポート、寄り添いというのが必要だなと感じています。亀田 東川先生が面接指導や健康相談のなかで、いろいろな情報をキャッチされて対応されていることは、働いている方にとってとてもありがたいことだと思います。将来、仕事を離れた後の準備も、会社に手伝ってもらっているということです。雇用が終わっても人生は続きますから、これからはこういう取組みが大切になると感じました。芥川 組みを考えているみなさまへアドバイスをいただければと思います。小島先生から、お願いします。小島 ビーイングなどについて、「やらなくてはいけない」と思ってやると、うまくいかないのではないでしょうか。いまの時代、「どういう企業でありたいか」が問われています。それをしっかり考え、実践している企業には優秀な人材も集まると思います。選び、選ばれる企業となり、それによって発展していくという絵を描く。そんなストーリーを描いたうえで、ウェルビーイングも含めて各種施策に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。それができないのであれば、無理に取り組むことではないウェルビーイングの考え方について、取あくまで私見になるのですが、ウェル株式会社OHコンシェルジュ 代表取締役、産業医 東川 麻子氏2024.228
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