エルダー2024年2月号
31/68

女性社員のウェルビーイング向上の支援は社会や企業の文化を変えるきっかけになると考えています。いずれにしても「わが社はどうありたいのか」ということを、しっかり考えなくてはいけないフェーズに入ってきたと思っています。「無理にしなくてよい」というところは東川 私も同意見です。いろいろな会社を見ていると、「女性管理職を増やそう」という一方で、活き活きと管理職をやっている人より、無理やり管理職になって具合が悪くなってしまったという人に遭遇するケースは多いのです。女性に管理職が務まらないということではなく、例えば、短時間勤務をしながらでも管理職ができる、あるいは、更年期の世代も無理せずとも働ける管理職のあり方、というものを考えていくことが大事だと思います。亀田先生から、全体をふり返ってのコメ芥川 ントをお願いします。亀田 先生方のお話を聞いていて、男性中心の社会構造が企業社会ではまだ変わっていないこと、あるいは、ライフイベントに関することや女性の役割ということでも、女性の負担が多いことがわかり、まだまだこれからだとあらためて思いました。本来、人間はコミュニティを持つ生き物として、例えば子育ては、昔であれば二世代、三世代、あるいは親族が集まるなかで行われてきました。しかし近年では、「親御さんは遠くにいて頼れない」という方がけっこういます。これはとてもたいへんなことなのです。そういう認識が社会に浸透していません。そんななかで、女性社員に焦点をあてたダイバーシティはまだスタートしたばかりですが、じつは変化の大きなきっかけになり得ます。「性別や職位などにかかわらず対等である」、「いいたいことをいえる」という文化や風土を醸成していくことが、これからの時代には大切なのだと思います。統計的に、日本では男性より女性のほうが長生きですし、介護を受けはじめる年齢も高いです。ということは、女性はそれだけ長く働ける可能性がある、ということがいえます。こうした状況もふまえて、女性をどのように支援していくか。真剣に取り組む時期にあると思います。芥川 員のウェルビーイング向上、エイジレスなキャリアと健康支援というテーマで、「女性」、「シニア」というキーワードでお話をしてきましたが、最終的には「だれもが働きやすい社会、文化、風土が求められている」ことが共通の視点としてあったと思います。背景に合わせた健康支援があげられます。そして「いいたいことがいえる」、または「相談できる風土、文化」がキーワードです。それぞれ実現していくための会社の施策として、まずはトップの強い意思表示、メッセージの発信があり、変化をうながすためにリテラシーを高めていくこと。さらに、一人ひとりとの対話によって解決していくこと。こういった流れが取組みに成功している企業に共通する視点ではないかと感じます。しになりますが、「すべての働く人に必要な支援」の視点が求められているということも、大事なキーワードになっているとあらためて感じました。本日はありがとうございました。ありがとうございます。本日は、女性社企業が支援できることとしては、まず個々の女性、シニアというくくりではなく、くり返株式会社健康企業 代表、医師、労働衛生コンサルタント亀田 高志氏29エルダー特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る