自部門・自チームのいう、組織・チームごとに心理的安全性を計測できるサーベイ(アンケート)をもとに、風土改革のサポートをしています。人事部門や管理職の感覚と、心理的安全性の高低は一致することが多いのですが、それでも感覚で「あそこは高そうだ・低そうだ」というよりも、明確な数値でスコアが出たほうが、空中戦を避けてディスカッションをする役に立ちます。また、全従業員を対象とした研修や、全社規模の管理職研修・役員研修などを行い、心理的安全性そのものへの認知を上げてスタートするとよいでしょう。部署やチームレベルの施策を行ううえでも、前提をそろえ誤解を修正しておくことが役に立ちます。育むためには、次の3ステップが推奨されます。●ステップ1:心理的安全性宣言と、行動の約束まず、特に管理職やリーダーから「心理的安全性宣言」を行うことが有効です。「心理的安全性宣言」とは、心理的安全性向上に取り組む目的を明確にすることです。問いを変えるならば「心理的安全性を育むことで、ほかでもない自分たちのチーム・自分たちの業務に、どのようなメリットがあるのか」を明らかにすることです。例えば、顧客満足度向上プロジェクトのチームであれば「今回のプロジェクトを機に、顧客満足度が大幅に向上するような、全社的にインパクトあるプロジェクトにしたい。そのためにも、プロジェクトメンバーからお客さまの状況や課題に対して、気づいたことをどんどん共有してもらいたい。そこで、まずは、このチームの心理的安全性を高め、小さな気づきを共有できる環境をつくりたい」といった話し方ができるでしょう。一方で、この宣言は「行動の約束」とセットで実施することが重要です。行動の約束とは、そのような心理的安全性の高い組織やチームを実際につくるために、あなた自身は何をするのかという約束(コミットメント)です。例えばプロジェクトリーダーであれば、「プロジェクトの問題点やうまくいっていない報告に対し、まずは『教えてくれてありがとう』と伝え、問題の報告を歓迎し、話を最後まで聴いてからコメントをする」といった「具体的な行動の約束」をすることが、そしてその約束を守り続けることが役立つでしょう。宣言したものの実際に行動がともなわない場合は、かけ声倒れになってしまい心理的安全性の高いチームはつくることがむずかしくなってしまいます。実際、私たちはだれもが知る上場企業の経営トップから、省庁の事務次官に至るまで、日本中の複数の組織で、経営者からの「宣言と約束」を実践していただいています。これらは、経営陣からの後押しのメッセージとして、心理的安全性浸透の強力な武器となりました。●ステップ2:診断と対話による、現状認識と解決案の立案次に現状の認識をするフェーズです。これは全社レベルで行われるサーベイがあれば、その結果を利用することがもっとも簡単な始め方でしょう。それがない場合も、部や職場内で心理的安全性に関するアンケートを作成し行うこともできます。心理的安全性の4因子「①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎」それぞれについて、質問をしてみるとよいでしょう。大切なことは、結果に一喜一憂することではありません。特に心理的安全性が高い場合には「私たちの部署は、心理的安全性がすでに高いので、特に問題ありません」と結論づけがちですが、心理的安全性の計測は、体温計や体重計のようなものだと思ってほしいのです。風邪の治療で、一度高熱から平熱に戻ったら、あとは体調管理をしなくてよいわけではないように、そしてダイエットを一度やって目標を達成したら、あとは野放図にカロリーを摂取し続けてもよいわけではないように、心理的安全性とは向上させ続け、維持し続けるものです。法律の改正なども含め、さまざまに変化するビジ多様な人材を活かす多様な人材を活かす37エルダー心心理心的全全全安全全性性のの高い職場づくり高い職場づくり3自身心の理職的場や安部全門性・をチつーくムるで3心ス理的テ安ッ全プ性を
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