エルダー2024年2月号
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しごとセンターに採用されたという形です。私は民間の会社で、人事関連の仕事に長くたずさわっていました。産業カウンセラーの資格を取得し、社内の相談窓口などを担当していました。2011年、早期退職に応募し、再就職活動を行った際にキャリアコンサルタントの資格も取得。その後、約の事業で就職支援にたずさわり、2020年から、シニアコーナーで仕事をするようになりましシニアコーナーといっても50代後半から広く、それぞれ違った環境で、違った問題を抱えています。一人ひとりの状況、年代層の特徴をある程度把握したうえで、利用者の話を聴くようにしています。また、シニア世代は介護の問題があったり、自分でも病気を抱えたりして内野 シニアの就職支援ということで、特に心がけていることはありますか。白井 にわたって民間や自治体いることもありますから、そういう事情をトータルに理解し、利用者に対応することを心がけています。自分への戒めは「先入観を持たない」ことです。いま、利用者が何を求めてここに来ているのか、先入観を持たず、よく聴くようにしています。人によって、年金は十分にあるけれど、社会とのかかわりを持つために仕事を探しているケースもありますし、「年金がぜんぜん足りないから働く」という人もいます。とにかく一定の金額を稼がなければならないのなら、少し方向性を変えて仕事を探すことなども提案し、それでうまくいくこともあります。シニアの場合、いままでの経験を活かして仕事をしたい希望があっても、いまの就労環境の状況では、なかなかそれが実現できないというケースは少なくありません。シニアコーナーでは、そういうシニアの求職者にも、さまざまな情報、選択肢を提供できるのが魅力です。例えば、65歳以上を対象とした「しごとチャレンジ65」は、職場体験を通じて、求職者と受入先企業をつなぐプログラムです。書類選内野 ―就職支援アドバイザーのお仕事で、魅力を感じるのはどんなところですか。具体的なエピソードがあれば、教えてください。内野 考などは行わず、企業に求職者に直接会ってもらうことができるので、採用率が非常に高くなっています。また、就職支援講習※を提案したことで利用者が前向きになり、納得した就職をしてもらえるのが一番ですね。とができた80代の女性がいます。いままでの経験を活かして、調理や洗い場での仕事がしたいということだったのですが、立ち仕事ですし、大きな鍋を扱うようなこともありますから、年齢的に少し厳しいかなと思っていました。しかしその方は、ハローワークの求人票にあった小料理屋で職場体験に臨み、そこでの就職が決定。その店では高級な器を多く使用していたので、その方のていねいな洗い方が評価されたのです。とてもうれしく思いましたね。います。働く意欲があるシニアを、企業としても積極的に、戦力としてどんどん活用してほしいと思います。とができるのではないでしょうか。例えば介護の現場であれば、身体の介護はむずかしくても、介護職の手伝いなどは可能です。仕事を切り出して細分化することで、少しずつでも、シニアが働く機会をつくっていただきたいですね。(取材・沼野容子)※ 就職支援講習……東京しごとセンターが実施する、マンション管理、介護など、シニアが活躍する業界へ職種転換するための短期講習白井 ―シニアが生涯現役で働き続けていくため、企業に求めることはありますか。白井 内野 少し前の話ですが、希望の仕事に就くこ少子高齢化で、労働力人口も減ってきてシニアの働き方は、いろいろと工夫するこさまざまな選択肢で納得のいく就職を公益財団法人東京しごと財団 総合支援部 しごとセンター課 高齢就業支援係 就職支援アドバイザーの内野貴世子さん45エルダー生涯現役生涯現役を支える支えるお仕事お仕事60代、70代、80代と利用者の年齢層は非常に幅。―た10年80代で希望の仕事に

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