タレントとは〝才能〟を意味するタレントマネジメントの必要性は近年高まっているor Taent(人材獲得・育成競争)〟という概念を今回は、タレントマネジメントについて取り上げます。人事にかかわる人にはすでに浸透していますが、それ以外の人にはなじみが薄い用語かもしれません。タレントマネジメントの定義は一定ではないといわれていますが、例えば厚生労働省が公表した『平成30年版般社団法人日本情報システム・ユーザー協会の「人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成などの人材マネジメントのプロセスを支援するシステム」という定義を引用しています。なんとなく〝タレント〟と聞くと、メディアへの露出度が高い芸能人や有名人などを想像しがちですが、本来は「才能・才能のある人」を意味しており、さまざまなタレントマネジメントの定義においても「個人の才能を把握・育成・活用する」という点においては共通しています。この用語の歴史は長く、1990年代に当時激化していた優秀人材の獲得競争を背景に、アメリカのマッキンゼー・アンド・カンパニーというコンサルティング会社が〝The War f労働経済の分析』では、一提示したことが始まりといわれています。この考え方にのっとり、早期に具体的な仕組みやシステムづくりに着手する企業がある一方で、考え方は理解するが具体化はせずにきたという企業も多く、取組みに対する温度差が大きかったというのがここ最近までの流れといえます。しかしながら、近年はタレントマネジメントの必要性が年々高くなり、再び注目されています。る少子高齢化による〝人材不足〟とグローバル化や情報技術の進化などの〝環境変化〟の加速化にあります。タレントマネジメントの考えが提示された1990年代後半あたりは、日本では人材獲得の競争どころかバブル経済の崩壊により、人員余剰の状態が恒常的に続きました。また、高度経済成長期からバブル経済期までの企業の成功体験をもとに社員の採用は新卒採用中心の長期雇用、教育はジョブローテーションによりさまざまな仕事を経験させ社内の幅広い仕事ができる〝会社人材〟を育てることに重点が置かれていました。環境変化が緩やかであれば過去の成功法を次世代に継承し、人員余剰であれば足りない人材のみを外部から調達すればこと足りその必要性とは、この連載でも何度も出てくl 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2024.246株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之第43回「タレントマネジメント」■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典
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