エルダー2024年2月号
64/68

美に憧れを抱き一貫して技術向上に努める地の講習会などで講師を務めたり、コンクールに出場する若手技術者の指導、新しい帯結びの創作など、幅広く活躍。また、車いす利用者の着付方法も考案した。成人式の前には、着付会場で何十人もの新成人の着付陣頭指揮を執る。着付の優れた技術や後進の育成などが評価され、2021(令和3)年に「東京マイスター」、2023年には「卓越した技能者(現代の名工)」に選出された。物心ついたころから「おしゃれが大好きで、美というものに憧れていました」という鈴木さん。叔母の影響で4歳から日本舞踊を約という。高校卒業後は山や野の高等美容学校(現・山野美容専門学校)に進学。卒業後もメイクや和装などの技術を習得するために学校に通い、約6年のインターンを経てチェリー美容室開業に至る。「美容の技術は奥深く、かぎりない」と考える鈴木さんは、開業後も一貫して技術の向上に取り組んできた。着付もその一つだった。「当時師事していた美容師の先生から、『あなた、ヘアはもう十分わかっているはずだから、次は着付を勉強しなさい』といわれ、3カ月間着付の講習を受けた後、着付のコンクールに初挑戦しました。まだ補正も上手にできないような状態でしたが、それでも11位に入賞できました。そのとき、『私はまだまだこんなものじゃない』と、着付を追究しようという気持ちに火がついたんです」それからの約20年間は、コンクールに出場し続け、花嫁衣装を手がけることを目標に腕を磨き続けた。コンクールでは、どの角度から見ても美しく、着る人が苦しくなく、しかも崩れにくい着付を短時間でできることが求められる。美しく、崩れにくく、着た人が苦しくない着付を短時間で行うには、上手な人の指導を受けながら、くり返し練習することが欠かせないという62ま「これまで積み重ねてきた勉強や経験を活かして、生徒さんには“この角度”がだめなら“別の角度”から教えるようにしています」10年間習い、和装も好きになった

元のページ  ../index.html#64

このブックを見る