有限会社アプリーレチェリーチェリー美容室TEL:03(3955)2543先輩方との出会いが宝物得たものを若い世代に引き継ぐ(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)んんんがゅ「普段着から始めて徐々に技術を習得していきました。好きなことだから楽しい反面、悔しくて泣いたこともありました。例えば、腰紐一本締めるのも、親指を上手に使い、しわをつくらないように締める。あるいは、長な襦じ袢ばの振りと着物の振りがぴたりと合うように胸紐を締める、といったことがむずかしく、最初はできるまで半日かかりました。それらを数秒でできるまで上達するのがたいへんでした。先生と同じようにやりたいのに、どうしても手がうまく動かず、形が崩れてしまう。『なぜだろう』と自問自答しながらひたすら練習を重ねました」後進を指導するいまでも、地方での同業者同士の勉強会に足を運び、技術の研け鑽さに余念がない。「和装の伝統を大切に受け継ぎながらも、時代に遅れてしまわないように、現代の色合いを取り入れていくことも大事だと思います。ですから、いまもつねに勉強して、アンテナを立てておくように努めています」「技術が身についたのは、これまですばらしい先生方と巡り会えたおかげ。それが私にとって一番の宝物です」そう話す鈴木さん自身、着付の高度な技術を習得したいという若手の着付師のために指導を惜しまず、これまでコンクール上位入賞者を輩出してきた。「指導のコツは怒らないこと(笑)。自分が積み重ねてきた勉強・経験の引き出しのなかから、その人に合った教え方を心がけています。これからも、着物という日本の伝統文化を、若い世代に引き継いでいきたいと思います」東京都板橋区にあるチェリー美容室。今年4月1日で50周年を迎える「日本十傑選考会」を目前に控えた若手着付師を指導する鈴木さん長年にわたる美容業界への貢献が認められ、「令和5年度卓越した技能者(現代の名工)」の表彰を受けたじゅ襦ばん袢おび、帯まくら枕「お客さまとお話ししながら働けるのが楽しい」と話す鈴木さん。店内は25年ほど前に、高齢者や障害のあるお客さまも来店しやすいように改装された、腰紐、クリップなど、着付に用いる道具の数々 vol.33663エルダー
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