会社は「学びの機会」にあふれている強みを磨き、弱みを補強しよう最後に江戸時代後期に活躍した学者・佐■藤■一■■■■■■きる喜びを得られるということをものすごく実感しています。これは、シニアになる方々も同じだといえます。また、シニア世代が大活躍している会社では、「元気だから働くのではなく、働くから元気になるんです」という声を聞きます。まさにその通りだと思います。米国の臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグによると、人は働くうえでは、働く環境や条件、人間関係、給料などに目が向きがちで、実際にそれらを改善すればするほど不満足は減っていきます。ですが、その延長線上に満足感はつながりにくい、というのです。では何が満足につながるかというと、仕事内容そのものや組織内でになう責任、自分の持ち味を認めてもらえる承認、がんばった結果「ありがとう」といってもらうこと、チームで難題を乗り越えたときの達成感――。そういったことが喜びになり、これらを集約すると「働きがい」になるのだと思います。幸せな50歳以降のキャリアを考えるとき、これらを第一に考えることが重要ではないかと思います。ミドル世代の多くの方々は、「いま、がまんして働けば、将来は豊かになる」と本意ではない仕事にも打ちこんで、年功序列で給料が上がり、家族を養えるというようなモデルを信じて働いてこられたと思います。これからは変えていきましょう。目の前の仕事を自分の経験値を用いて創意工夫することで「働きがい」という幸せを感じられます。この延長線上に、私の造語ですが「幸せを成す」と書いて「成■幸■」があるといえるのではないでしょうか。いま、リスキリングや学び直し、あるいは世の中の環境変化やDXなどの新しいリテラシーを学ぶことが求められています。ミドル世代にその重要性を伝える際に大切にしたいのは、ご本人のこれまでの経験値を活かしているのかを確認したうえで、そこに何をプラスして学び、加えていくかという発想です。先ほど「キャリア自律」について話をしましたが、まずは、キャリアビジョンをしっかり考えていくことが重要です。ところが「人生は長い」と思ってこれを先延ばしにしていると、気づいたときには定年や定年後再雇用が目前に迫り、余裕がなくなってしまいます。すると、いざキャリアの選択が求められたときに、消去法的な選択になってしまう可能性があります。では、何から始めればよいかというと、まず斎■の言葉で終わりたいと思います。は自分の市場価値を理解することが必要です。例えば、副業や兼業、ボランティア活動など社外での活動を通じて、会社の外でも通じる自分の強みを明らかにすることができます。多様なバックボーンを持つ人同士で議論しあう「学びの場」も有効です。そして、その強みをさらに磨いていく。このようなステップで進めていくことが大切です。「学びの場」という点でいうと、いま働いている会社も、じつは「学びの宝庫」です。例えば、他部署の仕事を学んだり、新しい仕事にチャレンジしたりする機会を得ることもあるでしょう。自分の強みを活かせる業務、弱みの克服につながる業務があれば、積極的にチャレンジしましょう。そして、強みを磨き、弱みを補強して、新たな挑戦に向けた準備に取り組み、自分の未知の領域まで人生やキャリアの可能性を広げていただきたいですし、会社はその支援をしてほしいと思います。「少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず」。学び、活躍するミドル・シニアのみなさんが増えていくような、そんな元気で明るい社会になることを願っています。2024.310
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