エルダー2024年3月号
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ほかの年代におよぼす影響とは現場の上司に対する支援とは談や研修を受けているシニア社員から、60歳定年はどのように受けとめられているのでしょうか。浅井 制度上は60歳定年、65歳まで再雇用となっています。65歳以降は、60〜65歳までの活躍度合の審査があり、活躍した人は66歳以降も継続雇用となります。60歳定年のとらえ方は、が落ちてしまうので働き方も減らしますという人、大きく二つに分かれます。前者のほうが圧倒的多数ではありますが、後者のほうの活用は今後の課題の一つでもあります。大木 続いて、50代社員に研修や面談を行うことによって、例えば、ほかの年代の人たちに、影響をおよぼしていることなどはありますか。岡本るのですが、2022(令和4)年から内容をリニューアルしました。ポスト就任者も含めて、自分のキャリアというものを、シニア層の人たちがしっかり考えていくという状態がつくれることについては、おそらく若手、中堅の層には好影響であり、あるいは、好循環をつくっていく大きなポイントになっているだろうとみています。50歳以上のモチベーションアップといいますか、こういう研修において考える姿というのが、全体のキャリア自律を上げていくキーになると考えています。若手、中堅の場合、自分がシニアになる浅井 ことすら想像できていない人たちがほとんどですので、自分の手本になるような存在を見つけるとか、影響を受けるといったことは、なかなかむずかしいのかなと思っています。しかし、すばらしいシニア社員がいますから、「ああいう働き方、あるいは思考法を学びたい」といった声はちらほら聞こえてきています。影響は少しずつ出てきているようにも思っているところです。キャリア支援には上司の役割が重要であ大木 る、というお話がありましたが、上司も忙しいと思います。現場の上司に対して、どういう支援が効果的か。あるいは、どんな仕組みがあると上司がシニアとコミュニケーションをとる時間がとれるのか。そのあたりの対応についてお聞かせください。岡本 やはり、上司支援はとても大切だと考えています。施策として、先ほどお話ししたキャリア研修、キャリアコンサルティングの面談、上司のキャリア面談を1セットにしており、この上司面談を行うにあたり、上司に向けて面談ガイダンスを行っています。部下のことを考えるためのガイダンスですが、ここに臨んでもらう17特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜(東京都千代田区)◎創業 1922(大正11)年◎業種 総合化学メーカー◎社員数  48,897人(2023年3月末現在)◎特徴的なシニア社員向けキャリア施策 定年65歳。50歳および55歳の節目にキャリア研修、キャリアコンサルタント面談、上司キャリア面談を実施。自律的なキャリア形成を目ざす。だれもがキャリアの可能性を広げられる学習支援・推進システムには、シニア社員への推奨メニューページも作成。50歳と55歳の節目研修は、長年行ってい◎創業 1999(平成11)年◎業種 情報・通信業◎社員数9,300人(グループ 17,800人)(2023年7月現在)◎特徴的なシニア社員向けキャリア施策定年60歳。希望者全員65歳、基準該当者70歳まで再雇用。50歳以上の活躍推進に向けて、キャリアデザイン研修とキャリア面談を実施。研修は自分を客観視して面談に向けた準備を行い、面談は行動を変えるきっかけをつかむまで時間無制限で行う。これらの施策により、多くのシニア社員に行動変容を起こした。社員のキャリア自律率も向上。60歳以降もバリバリやりたいという人と、処遇エルダー企業プロフィール旭化成株式会社(東京都千代田区)NTTコミュニケーションズ株式会社50代社員への研修や面談が

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