エルダー2024年3月号
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社員の自律的な成長やキャリア形成上司面談を支えるシステムについてと、上司自身に多くの気づきがあったり、そこから上司が自身のことも考え始めたりするという循環が起こり、上司の安心感とスキルアップ、力量アップにつながっています。そうした変化もあり、シニア支援に上司面談を入れたことは、大きなポイントになったと思っています。上司が忙しいというのは、たしかにそう浅井 なのですが、部下育成は上司の仕事ですから、キャリア指導もじつは上司の本来業務といえます。当社の取組みでは、上司による指導と私たちキャリアデザイン室が行うものは分けていて、上司はキャリア指導、私たちはキャリアコンサルティングを行います。例えば会社側が、「ある人を幹部候補にしてその育成をする」となった際、本人が「専門性を磨きたい」という希望を持っていたとしても、幹部になるための指導をする、それがキャリア指導です。しかし私たちは、自分の行きたい道があるなら、「幹部になるのとプロフェッショナルになるのとでは、あなたはどちらが幸せなのか」という話をします。上司の指導が合わなければ、私たちはセカンドオピニオン的な位置づけで、「本人の幸せのためにアドバイスをしていく」という立ち位置で取り組んでいます。上司向けには、かつてある部署で、社員たちに「どの上司についていきたいか」という総選研■鑽■し、成果を上げてくるわけです。■■挙をやってもらいました。そのときに1位になった上司は、例えば、部下に指示をするだけでなく、週1回は現場に出向いて、打合せに加え、半日は現場のオペレーターとしてお客さまの注文を受けるわけです。すると、部下が苦労していることがわかり、どうやって解決したかといった話になる、そしてコミュニケーションがとりやすくなる。部下は、「この人についていきたい」と思うわけです。上司が、キャリア教育やこういう研修を受けなさいといわなくても、あるいはコミュニケーションを充実させるために飲み会をやらなくても、部下が率先して上司向けに私が伝えていることは、「もし自分が部下の立場だったら、いまの自分についていきたいと思うだろうか、ということを日常的に考えてください」ということと、「もし上司総選挙が行われたら自分は何位になるか、それも考えてください」ということです。そうすると、上司たちがちょっとピリッとしてきます。大木 ここで、このシンポジウムのライブ配信をご覧になっている視聴者の方から岡本さんへご質問です。発表のなかでお話のあった「CLAP」(12ページ参照)の活用度合について、教えていただけますでしょうか。岡本 ング・マネジメントシステムで、社員の自律的な成長やキャリア形成を後押しする、学びを支援することを目的としたものです。社外のコンテンツと、各職場、あるいは切り口を用いた社内コンテンツの大きく2本柱で構成しています。2022年12月に立ち上げて、これまでに全従業員の75%から80%がアクセスしており、高めに推移していると認識しています。ざっと「CLAP」というのは、当社のラーニ2024.318旭化成株式会社 人事部キャリア開発室長 岡本真治氏

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