エルダー2024年3月号
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「エイジレスな人材活用のための評価・賃金制度」 今い野の浩こ一い郎ろまううち学習院大学名誉教授 「評価・賃金」はシニア社員を戦力化するための道具令和5年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウムシニア社員の「評価・賃金」を考える際の視点基調講演「エイジレスな人材活用のための評価・賃金制度」本日は、シニア社員の「評価・賃金」の基本的な視点や考え方についてお話しいたします。各企業では、それぞれ個性的な対応をされていますから、それらの事例を理解するうえでも、この基本的な視点や考え方が重要となりますし、自社ならではの対応を考えるときにも出発点になると思います。シニア社員の人事管理に取り組むにあたって、まず頭に置いていただきたいのは、「60歳以上の社員は、全体の約5人に1人」だということです。これは日本企業の平均像を表した数字ですが、こんなに大きな集団になっているわけですから、シニア社員を戦力化できないと、経営上、企業は深刻な状態に陥るということになります。シニア社員が活躍するか、しないか、この違いはものすごく重要で大きな問題であると理解して取組みを進めていただきたいと思います。したがって、企業にまず求められることは、シニア社員を戦力化する「覚悟」です。もはや、「どうしよう」なんていっている場合ではありません。この「覚悟」は、働くシニア社員にも求められるものです。社員の5人に1人がシニア社員になっていますから、「60歳になったから、のんびり働こうか」なんていっていると、会社はたいへんな状況になってしまいます。シニア社員にも、戦力として働く覚悟が必要です。本日のテーマである「評価・賃金」は、シニア社員を戦力化するための道具といえるものです。この道具が機能するかしないか、最初の「覚悟」にかかっているともいえるでしょう。賃金」を考える際の基本的な視点についてお話しします。「評価・賃金」を見ても決まらない、わからない、ということです。「評価・賃金」というのは、社員を戦力化するための道具ですから、会社が社員に何を求めるのか、どう働いてほしいのかという、いわゆる人材戦略が決まらなければ、「評価・賃金」は決まらない、ということです。「『評価・賃金』をどうにかしなくてはいけない」と考え、そのための施策ややり方をいじってみても、そこに答えはないのです。制度上の具体的な対応を考える前に、「評価・一つめの視点は、あるべき「評価・賃金」は、21特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜エルダー11月 1日開催

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