エルダー2024年3月号
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シニア社員の社員タイプを確認する「短期雇用型」、「制約社員」合理的なシニア社員の賃金とは制約社員化に対応する調整などが必要す。会社はシニア社員に何を期待するのか(社員から何を買うのか)、シニア社員は会社にどう貢献して何を売るのかを、もう一度考え直して役割転換やキャリア転換を行うのです。つまり、再雇用にしても定年延長にしても、同じようなことが起こるとお考えください。そうなると、企業にとっては、働いて稼いでほしい、貢献してもらいたいわけですから、業務上の人材ニーズを明確にして、それを満たす人材をシニア社員から確保し配置するという「需要サイド型(必要なので配置する)」の施策をとることが基本になります。「需要サイド型」に対し、「供給サイド型」の施策もあります。「供給サイド型」は、シニア社員がいるから仕事をつくる。つまり、労働サービスを提供する供給側に合わせるということですが、これは「置いてやる雇用」につながってしまいます。重要なのは、企業は、シニア社員に何をしてもらうのかをきちんと考えることです。これが、「評価・賃金」を考える出発点であると考えてください。もう一つ確認しておきたいのは、先ほど「評価・賃金」を考える際の視点としてあげたように、「シニアだからこういう人事管理をしよう」、「シニアだからこういう『評価・賃金』にしよう」ということはないのです。「シニア社員は、人材戦略上こういうタイプの社員なので、こういう人事管理や『評価・賃金』がある」という考え方が重要となります。では、シニア社員はどういう社員タイプなのでしょうか。もちろん企業によって事情は多様ですから、平均的なケースでお話ししたいと思います。一つは、シニア社員は「短期雇用型」人材という特性があります。一般的に、現役社員は、長期雇用前提の「長期的な観点に立って育て活用して払う」という投資対象の長期雇用型の人材です。一方でシニア社員は、60歳定年以降の5年間の再雇用という制度が典型的であるように、短期雇用前提の「いまの能力をいま活用して、いま払う」という短期雇用型の人材です。もう一つの特性として、シニア社員になると、例えば、転勤や出張はしない、無理な残業や、休日出勤はしないなどのケースが多くなります。つまり60歳前に比べると、働く時間、働く場所が制約的になり、「無制約社員」(現役社員)から、「制約社員」(シニア社員)へ転換していく。シニア社員は、働き方が「制約的」であることも特性としてあげられます。考えていきます。理的に考えると、短期雇用型人材のシニア社員は、仕事ベース型の賃金が合理的です。ということは、定年以降に仕事が変われば賃金は変わる、ということになります。これを「仕事原則」と呼ぶことにします。ことへの対応は、制約化した分だけ企業にとっては業務ニーズにあわせて機動的に活用できる程度が落ちますので、その分の賃金は下げるのが合理的です。つまり「求められる制約社員化に対応する賃金調整」(制約配慮原則)が必要となります。がった部分を、私は「リスクプレミアム手当」と勝手に名称をつけています。じつはこの手当は、シニア社員に対するだけの考え方ではなく、会社のなかのほかの制約社員にも適用できる考え方であるといえます。これらの特性をふまえて、「評価・賃金」をシニア社員は「短期雇用型」人材ですが、論もう一つの特性である「制約社員」になったちなみに、その制約化に対応して賃金が下例えば、総合職と一般職でいうと、総合職は23特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜エルダー

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