エルダー2024年3月号
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「エイジレスな人材活用のための評価・賃金制度」 森も田た喜よ子こTIS株式会社人事本部人事部人材戦略部セクションチーフ意欲あるシニアが引き続き活躍できる環境整備を目ざして令和5年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム発表②シニア層への取り組みについてりし■■TIS株式会社は、1971(昭和46)年に設立した総合ITサービス企業です。TISインテックグループの一社として、当社ではシステム開発をになっており、さまざまな社会課題の解決に向けてITサービスを提供しています。創業から50年以上が経過し、IT業界では比較的歴史が長いのですが、企業としてはそれほど長くなく、創業時の社員が定年を迎えつつあるという状況で、60歳以上の社員は全体の約4%とまだ割合としては少ない状況です。シニア層の活躍推進施策について、まずは制度変更前に抱えていた課題から説明いたします。以前の制度は60歳定年で、55歳より職責および処遇を逓■減■する専任職制度を実施しており、働いても働かなくても処遇が低減していくため、モチベーションの低下が発生していました。また、定年後は65歳までの再雇用制度を導入していました。処遇は一律とし、処遇に合わせた職域を創出する形で雇用を継続し、賞与はなく、低い給与での雇用を原則とし、多くは定年前の業務、または同じ部署で役割や職責を大きく低減した業務に従事し、やはりモチベーションの低下が発生していました。ハイパフォーマー向けの再雇用制度として、原則として定年前の職務を継続する再雇用も実施していましたが、報酬は減額する制度となっており、法的なリスクがあることを認識していました。このような制度であった一方で、少子高齢化が進む日本ではIT人材が不足しており、人材確保は企業の成長のためにも不可欠と考えて、意欲やパフォーマンスが高いシニア層が引き続き活躍できる環境整備を目ざし、定年および再雇用制度の変更に取り組みました。歳に延長するとともに、再雇用の年齢上限を70歳までとし原則として定年前の職務を継続し、処遇は同一労働同一賃金の考え方を考慮した制度としました。この変更については、年齢により職務・職責を制限するのではなく、実力主義のもと、パフォーマンスに応じて適正に処遇をする制度にしたいという思いがあります。は設定せず、定年前と同じ等級、職種とし、定年前と同じ評価制度を適用して処遇に反映することとし、再雇用や年齢のみを理由とした減額は発生しない仕組みです。具体的には、専任職制度は廃止し、定年を65また、等級制度についても、再雇用時の等級施策の検討にあたり、経営層からは「シニア27特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜エルダー11月 1日開催

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