エルダー2024年3月号
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「エイジレスな人材活用のための評価・賃金制度」 杉す浦う由ゆ佳かぎら日本ガイシ株式会社人材統括部人事部長遇を見直すと同時に、年金支給年齢の繰下げや介護負担の増大などに直面する高齢者層が、安心して変わらぬ働きを実現できるようにと考え、実施したものです。以前の再雇用制度は、それを見直すとともに、各人の成果に応じた処遇へ見直しを行い、業績評価を中心とした賞与査定、その得点を使った昇給制度も整備しました。また、働き続けられるように、各々の家庭事情や体調に応じて働ける環境、支援の提供も行う内容で、65歳定年制を導入しました。ここで、当社の資格制度についてご説明します。当社では、組合員を「一般職」、管理職を「基幹職」と呼んでいます。入社時はJ群で、そこか定年と賃金を大幅に改定し令和5年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム評価・賃金制度は年齢にかかわらず全社員が同じ制度を適用〜安心して働き続けられる環境の整備〜発表③シニア層の活躍に向けて日本ガイシ株式会社は、1919(大正8)年の設立で、従業員数は約5000人です。祖業であるガイシ事業を継続しているほか、現在は自動車関係のエンバイロメント事業※が売上の半分以上を占めている状況です。当社は、2017(平成29)年4月に65歳定年制を導入しました。本日は、65歳定年制と、現在の65歳超の再雇用制度についてお話ししたいと思います。制度の変遷をたどると、1990年代初めに、現在の根幹となる旧人事制度がスタートしました。以降、再雇用制度の導入などを挟み、大きな制度改定を2017年に実施しました。2017年の制度改定は、従来の年功的な処ら転換試験を経て、現場を支えるM群、さらに転換してS群という、管理職候補や高度なスペシャリストと位置づけている資格があります。そこから基幹職に登用となり、基幹職は4級から始まって1級まであります。58歳になると、役職定年でそこからは専任職1〜4級になり、60歳になると、専任職となるという資格制度です(図表)。一般職の65歳定年制は、60歳到達時点の給与水準を維持し、勤務形態はフルタイムで、60歳以降も原則として同一職場で働く、という内容です。評価・賃金制度は、60歳以降も変わらず、全社員が同じ制度で、業績評価を年2回行い、その結果が賞与の査定になります。加えて、昇格を判断するような役割評価を年1回実施しています。賃金カーブは、従来は右肩上がりで進んで、29特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜※ エンバイロメント事業…… 自動車排ガス浄化用触媒担体や、排ガスの窒素酸化物(NOx)濃度を測定するNOxセンサーなど、環境保全や省エネルギーを実現する製品を主軸とした事業60歳になるとガタっと落ちるというカーブでし60歳以降、賃金が大幅に減額されていたため、エルダー65歳まで変わらぬ働きを実現11月 1日開催65歳定年制度の導入と今後の更なる

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