評価制度を設計するときに工夫したこと、苦労したことた当初はありました。ですが、7年を経たいま、そういった声は聞かれなくなりました。ただ、視力が低下し「細かいものが見えにくくなった」という声はあり、他企業さんにあるようなシニアラインなどの検討が必要ではないかという話は出ています。今野 そういう対応をすれば、平気だということですね。杉浦 そうですね。60歳と思っていた定年が、は、「そこまで働けるかな」という不安を抱いた社員もいたと思います。でも、65歳定年が定着したいま、「少なくともそこまでは元気に働きたい」と思っている人がほとんどのように見受けられます。評価制度についてうかがいます。役割や今野 成果に基づいて評価することを前提として評価制度を設計するときに、工夫したことや苦労したことをお聞かせください。年齢にかかわらず同じ基準の評価制度を森田 適用しているので、シニア社員にかぎらず評価制度全般にかかわることですが、評価をする側の問題によって、評価自体に甘辛が出てしまうことがないように、というところが課題となっています。当社の場合、パフォーマンスが高ければ、若くてもどんどん昇格して、組織長になったり、評価者になったりします。そのため年下上司と年上部下の関係が多くなるのですが、評価者が年下だったとしても、年齢にかかわらず等級定義に基づいて評価をするということが、ポイントになっていると思っています。年下上司のことは、シニア社員の問題を今野 話すときによく話題になります。「若い上司もやりにくくて職場がうまくいかない」といった話も聞くのですが、いまのお話にあった年下上司が年上の部下を評価するというのは、森田さんの会社では普通のことですか。森田 そうですね。定年延長にかかわらず、以前から年下上司による評価はよくあるケースと33特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅡ〜株式会社NJS 管理本部 人事総務部長 小林崇氏◎創業 1951(昭和26)年◎業種 建設コンサルタント業◎社員数 580人(グループ1,137人)(2022年12月末現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 2019年に70歳定年制を導入。運用により、一定の条件を満たした場合、70歳以降も契約社員として再雇用。現役世代も含めたキャリアパス・等級の見直しを行ったうえ、シニア等級を設定。シニア社員も、60歳以前と同じ評価制度を継続し評価によって給料が変動。65歳になったということに直面し社員のなかに(2023年3月末現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 2017年に65歳定年制を導入。年金制度改定と賃金カーブを変更し、65歳まで60歳到達時点と同等の給与水準を維持する。組合員は、全社員に同じ評価・賃金制度を適用し、賞与、昇格に反映する。65歳超再雇用制度制定を目ざし、2022年よりトライアルとして開始した。(愛知県名古屋市)◎創業 1919(大正8)年◎業種 製造業、窯業◎社員数 (連結)20,077人 エルダー企業プロフィール(2023年3月末現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 2019年に定年を65歳に延長し、2020年に70歳までの再雇用制度を導入。全社員に対し、パフォーマンスに応じた処遇を行う方針のもと、年齢にかかわらず同じ等級別定義に基づき評価および処遇を行う。65歳以降の再雇用後も同じ基準で評価および処遇する制度。株式会社NJS(東京都港区)日本ガイシ株式会社TIS株式会社(東京都新宿区)◎創業 1971(昭和46)年◎業種 情報通信業◎社員数 (連結)21,946人(単体)5,695人
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