エルダー2024年3月号
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エイジレスな評価・賃金制度とはパネリストからのメッセージのではなく、施策を検討した際、実力主義を掲げるなかで、65歳まで年齢による処遇の変更を行うのではなく、定年を延長して、正社員として同じ土俵で評価・処遇する、としたことが理由としては大きかったと思います。杉浦 定年延長をしたきっかけの一つに、当時は60歳以上の社員は100人ほどでしたが、その5年後、10年後には、300人、400人となることが予測されていて、それだけ増えてきたときにいかに働いてもらうか、パフォーマンスを出してもらうかと考えたときに、再雇用ではなく、正社員として定年延長すべきだという判断に至りました。今野 最後に「これだけはいっておきたい」ということがありましたらお願いします。杉浦 評価というのは非常にむずかしいです。業務や役割がそれぞれ違いますので、目線を合わせるということが重要になってくるのだろうと考えています。また、個人によってパフォーマンスは違いますし、働き方がさらに多様化しているなかで、今後シニア層にかぎらず、全社員が持てる力を発揮し、それを正しく評価し、正しく報酬につなげるということが、人事の永遠の課題なのかなと感じています。制度もまだまだですし、今後もそういったことが実現できるように努力する人事部でありたいと思います。森田 定年延長と再雇用について、職責低減をせずに同じ処遇にしていくという制度を整えましたが、まだ課題もあります。特に、再雇用制度では、全員を対象にした一定の評価であったり、組織の推薦、本人の希望などの一定条件を設けていたりする仕組みです。今後はそういった制限がかかっているところや、働き方の多様化というところも含めて、一律に正社員と同じとしてよいのかということも検討していきたいと思っています。小林 シニア社員の処遇という前に、今野先生がお話しされた、シニア人材をその会社でどのように活用していくかということが、大前提になると思います。業種や職種によっても違ってくると思いますし、人事部門だけで進めることもできないことだと実感していますので、経営トップの意思を確認しながら、進めていくとよいのではないかと思います。また、制度導入後は、想定していなかったこ   とも大切だと思います。本日お話をうかがい、とが出てきますので、臨機応変に変えていくこ人生100年といわれるなかで、何歳まで働いてもらえるのか、そうしたことをさらに考えていく必要があると強く思いました。今野 ジは、「『シニアならでは』という評価・賃金はやめよう」ということであったと思います。そのうえで、エイジレスな制度にするためにはどうすればよいかということについて、3人が共通していわれたのは、「人事管理は役割と成果をベースにつくり上げる」ということだと思います。そうすると、シニアになっても、あるいは定年延長をしても、何の問題もないということになります。の要素が消えますが、他方で、例えば、管理職の世代交代の問題や、個々の働く人のキャリアと役割の見直しなどを考えると、ある時点で何か手を打たなくてはいけないという問題もあります。そのときに、年齢という装置でいくか、違う装置でいくのかについては、考えなくてはいけません。いずれにしても世代交代装置あるいは、キャリア・役割見直し装置みたいなものを、役割と成果に基づく人事管理に付加していかないと全体的にうまくいかない、ということがいえるのだと思います。ストに心より感謝申し上げます。3人のパネリストからの最大のメッセー役割と成果に基づく人事管理にすると、年齢質問に真摯にお答えいただいた3人のパネリ2024.336

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