エルダー2024年3月号
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ツールを活用し賃金・評価制度を考え方から見直す迅速かつ万全な修繕作業で現場をサポート高齢職員は元気いっぱいで働いてくれていますが、その一方で、介助作業は足腰に負担がかかるので、時短勤務に切り替えたり、負担のかからない業務をお願いして長く仕事を続けてもらっています。60歳定年制についても見直しを考えています」(遠藤事務局長)水澤プランナーは、同法人からの「高齢者の賃金や評価制度の見直しについて相談したい」という要望を受け、2023年5月に訪問。JEEDの「70歳雇用推進マニュアル」※2、厚生労働省の「職業能力評価シート」※3と「キャリアマップ」※4を参考に、賃金・評価制度の考え方や進め方などについて助言を行いました。「賃金や評価制度の改定を考えていましたので、前職で賃金制度の見直しを行った経験を活かして助言を行いました。また、県の非正規労働者処遇改善事業を活用し、賃金・評価制度の見直しを継続して行っています」(水澤プランナー)同法人では管理者を対象に、水澤プランナーが講師を務めるセミナーを開催しています。人事評価の考え方などについて講義するほか、「扶養控除から考える就労のメリット」、「年金を受給開始するとよい年齢」など、受講者に身近なテーマを當■眞■孝■三■さん(72歳)は、食品加工会社を定年■■■■取り上げており、わかりやすい数字を例にしてかみ砕いて伝える説明は、「メモを取らずとも記憶に残る」と、参加者から好評を得ています。今回は、だれからも頼りにされているという二人の高齢職員にお話を聞きました。退職後、ドライバーとして入職しました。通所介護の送迎のほか、施設の営繕、園芸の管理を担当し、週5日フルタイムで働いています。「親の介護を経験してから介護業界に興味を持ち、知人の紹介を受けて入社しました。送迎時はお年寄りに人生経験を聞かせてもらい、家族に話せないことを話してくれる方もいて貴重な交流の時間になっています。営繕の仕事は前職でつちかったメンテナンスの技術を活かすことができますし、園芸の仕事は初めてですが楽しいです」前任者に教わったマンゴー栽培が楽しく、自宅でも始めるなど、いまではライフワークになっているそうです。リハビリテーション課と通所介護事業の管理者を兼務する與■座■勇■人■課長は、當眞さんの働きぶりについて、次のように話します。「當眞さんは物腰がやわらかく、職員みんなから慕われています。『テーブルが壊れた』、『蛍光灯が切れた』と設備にトラブルが起こると、だれもがまず當眞さんに助けを求めます。対応が早くて、どんなものでも手際よく上手に直してくれる救世主のような存在です。送迎では持ち前のコミュニケーション能力を発揮し、お年寄りの笑顔を引き出し、信頼関係を築いています」この評価を受け、當眞さんは「部品は置き場所を決めておくと作業がスムーズです。故障した箇所だけでなく、全体を見直して必要な補強を行い、故障をくり返さないように気をつけています。若いスタッフには営繕の方法と物を大切にする精神を伝えたいです」と話してくれました。昼食は職員食堂を利用しており、「管理栄養士利用者の送迎に向かう當眞孝三さん※2 https://www.jeed.go.jp/elderly/data/manual.html※3  職業能力評価シート……職業能力評価基準で職種・職務・レベル別に定められている「職務遂行のための基準」を簡略化したもの※4  キャリアマップ……職業能力評価基準で設定されているレベル1〜4をもとに、能力開発の標準的な道筋を示したもの

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