心理的柔軟性というリーダーシップを今回は、これらのリーダーシップのなかでも、心のしなやかさ「心理的柔軟性」に焦点をあてて紹介します。心理的柔軟性の高い組織メンバーが、心理的安全性の高い組織をつくり、また心理的安全性の高い組織のなかで、人やリーダーシップが育つ、いわば「よいサイクル」が心理的柔軟性と心理的安全性の関係です(図表1)。とができるリーダーシップです。端的にいうと「たとえ困難な状況であっても、大切なことへ向けて役に立つ行動をとれること」です。弊社(株式会社ZENTech)の調査では、心理的柔軟性が高いメンバーが多いチームは、チームの心理的安全性が高い、という相関があることがわかっています。言いかえると、チームの心理的安全性を高めるために個人のリーダーシップとしての心理的柔軟性を高めることが有効なのです。心理的安全性の低い職場では、意図せずともやってくる法改正や社会情勢の変化などの「困難」にあって、チームで問題を解決するかわりに、チームで問題を増幅してしまいます。例えば、これまでのやり方では対応できないと考え、抜本的な業務改善案を提案したら「じゃあそれ、あなたがやっておいて」と言われ、ただただ自分が忙しくなる「言ったもん負け」や、マネジャーのやるべき業務が多すぎて、メンバーへの配慮やよりよい環境づくりができなくなる「マネジャー忙殺」など、心理的安全性が低い職場では、さまざまな「自分たちでつくってしまう困難」があるでしょう。すでに職場の心理的安全性が低く、このような困難が日常にあるとき、多くの人は「本当はやったほうがよい、こういう職場にしたい」という想いがあったとしても、ブレーキがかかって、新たな行動が生まれません。見てみましょう。1カ月前に中途で入社した私は、業務改善会議に参加しました。現在会社は「顧客満足向上」を掲げており、前職で有効だった施策が、この会社でも効果が高いと私は思っています。しかしキャリアが短いことが気になり「効果的と思われる施策のアイデアがあるが、入ったばかりの自分が言ってはいけないのではないか」という思考が働いてしまい「今日はまずは話を聞いて、また機会があったら言おう」と考え意見を言いませんでした(図表2)。この場面では「言った方がよいだろう」と思うものの、不安が頭をよぎって行動のブレーキとなってしまい、役に立ったかもしれない発言ができませんでした。心理的柔軟なリーダーシップは、上記のようなブレーキとなる不安や感情といった「困難」多様な人材を活かす多様な人材を活かす業務改善会議でのこと業務改善会議でのことブレーキがはたらく!ブレーキがはたらく!先月中途入社した私先月中途入社した私入ったばかりでキャリアの短い自分が業務改善について意見してよいのだろうか言っても聞いてもらえないのではないかエルダー会社が大事にしている会社が大事にしている「顧客満足」を上げるために、「顧客満足」を上げるために、以前の職場で上手くいっていた以前の職場で上手くいっていた施策はこの職場でも役立つはず!施策はこの職場でも役立つはず!このアイデアは伝えたいこのアイデアは伝えたい・・・(今日は言わずに 聞いておこう)45※ 筆者作成図表2 心理的柔軟性が低いケース図表2 心理的柔軟性が低いケース心心理心的全全全安全全性性のの高い職場づくり高い職場づくり2心理磨的く柔こ軟と性がは心一理人的ひ安と全り性がを持つちく、る鍛えるこ3心理心的理柔的軟性柔が軟低性い3状つ態のを要、具素体的な場面で
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