退職金の全額不支給については、長年の勤続の功労を抹消するほどの事情が必要であるため、全額の不支給とすることは適切とはいいがたいでしょう。ただし、自動車運転に対する責任が大きい事業であれば、許容される可能性があります。酒気帯び運転を行った従業員に対して、懲戒解雇と退職金の減額を検討しています。自動車運転について、物流業等以外も対象にアルコール検査義務等が制定されるなど、規制も厳格になっているため、全額を支給しないという判断も可能でしょうか。退職金の減額措置について酒気帯び運転による退職金全額不支給が肯定された裁判例不祥事を起こした従業員の退職金を不支給とすることはできますかQ11就業規則において定められた退職金は賃金の性質があり、①賃金の後払い的な性格と、②功労報償的性格をあわせ持っていると整理されることが一般的です。退職金について、就業規則で支給条件が定まっているのであれば、当該支給条件にしたがって、支給手続きをとることになります。就業規則で定める支給条件については、さまざまな条件が考えられ、支給の条件として、懲戒解雇の場合は、支給対象から除外する、または支給額を減額するといったことや、自己都合退職と会社都合退職の際の支給額の計算方法を異なるものとするといったことが行われています。あたって、退職金には賃金の後払い的性格もあることから、その範囲を制限する裁判例も多く、特に全額の不支給とするためには、永年の勤続の功労を抹消させるほどの背信的行為があった場合にかぎると解釈されています。2公び運転を理由に懲戒免職され、その結果、退職金が全額不支給とされた事案において、そのような処分の有効性が争われました(最高裁令和5年6月27日判決)。ジョッキとグラスで各1杯程度、日本酒を3ただし、退職金を不支給または減額するに立学校の教師であった公務員が、酒気帯当該公務員は、同僚の歓迎会でビールを中 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。第70回 退職金の不支給、人事評価の違法性判断基準2024.348弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲A知っておきたいA&A 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q労働法
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