―新大学の授業内容などについて、教えてください。―シニアの学び、就業を支援する立場から、企業の経営者や人事担当者へのメッセージをお願いします。岡野 を復興させてきた世代です。平均寿命はいまより短く、当時の大学設立の趣旨には、その世代の人たちが体験できなかった青春、キャンパスライフを味わってもらうという福祉的視点があったと思います。しかし、いまでは、シニアのライフスタイルも変わり、自立して、価値観も多様化しています。大学もいつまでも、「生きがいづくり」、「仲間づくり」だけの場でよいのか、もっと現代社会とマッチしたカリキュラムを考えていくべきではないか、と見直しの機運が高まりました。そうした背景もあって、埼玉未来大学が創設されることになったのです。見直しには、「リニューアルではなく、リボーンだ」、「生まれ変わるんだ」いう気概で取り組みました。岡野 ―シニアの学びや就業を支える仕事に長くたずさわってきて、やりがいや魅力を感じるのはどんなところでしょうか。岡野 ―仕事をしていくうえで、心がけていることはありますか。岡野 キーワードは「元気で自立した高齢者」です。例えば「地域創造科」では、NPOやボランティア活動など、自分が社会で役立つことをしたいという思いを持った人に集まってもらい、一人ひとりの思いを実現するための伴走支援をします。「コミュニティカフェをやりたい」、「観光ボランティアをしたい」など、具体的な目標を持っている人に向け、具体的なノウハウを学ぶことができる専門講座も開設しています。一概にシニアといっても、個人差は大きいですよね。能力の高いシニアは、非常に多いと思います。大学にも、カリスマ性にあふれ、仲間を集め、自分たちでやりたいことを立ち上げ、サークルやクラブ活動など諸活動の中心になるような人がたくさんいました。70歳、80歳を過ぎても、バイタリティのある人を見ると、大きな刺激を受けます。こんなふうな年のとり方ができれば、人生充実するのだろうなと考えますね。どんな仕事であれ、相手の立場に立って考えることが一番大事だと思います。いま、「この人が何を望んでいるのか」を想像して、それを叶えてあげられるようにしたいと考えています。それは、顧客だけでなく、仕事仲間に対しても同じです。私は昨年4月に定年を迎えて、再雇用という形になって、いまは上司が自分に何を求めているか、わかる部分も多いので、相手の思いを■んで、行動したいと思っています。再雇用になると、モチベーションの維持がたいへんだと聞いていたのですが、私は逆に上がったと感じています。後輩を育てるのが楽しみの一つになっていますし、相談や研修の支援をしていて「ありがとう」、「助かりました」といってもらえることがうれしいです。役職に就いていると、褒められることはあまりないですからね。再雇用になって、たしかに給料は下がりましたが、仕事への意欲は給料だけではないのだなと、強く感じています。いますし、何よりも、いまのシニアは元気です。年齢だけで線引きするのではなく、その人のできること、能力に目を向けてもらえれば、シルバーのみなさんの活躍する場所も、もっと増えるはずだと思っています。シニアには、さまざまな技能を持つ人が(取材・沼野容子)シニアのバイタリティに刺激大切なのは「相手の立場で考える」こと53公益財団法人いきいき埼玉 埼玉県シルバー人材センター連合 就業促進部就業促進課主任の岡野功さんエルダー生涯現役生涯現役を支える支えるお仕事お仕事
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