フレックスタイム制のメリットと留意点ブルタイム時間内であれば、自由に業務開始・終了時刻を決められるため、少し早く業務終了したい場合は7時に業務開始して16時に終了(8時間労働)、朝と夕方に用事がある場合は10時に業務開始して15時に終了(4時間労働)というのも可能です。なお、コアタイムとフレキシブルタイムの設定は任意であるため、何時からでも自由に業務開始・終了できるスーパーフレックスタイム制度を導入している企業もあります。次に、清算期間中の時間管理について、(図表2)を見てください。例えば、清算期間1カ月、総労働時間160時間とした場合、1日の労働時間が先述のように8時間や4時間とばらつきがあっても、1カ月単位で160時間の実労働時間を満たす必要があります。このため、1カ月の実労働時間が155時間だった場合には、5時間分を賃金から控除するか、次の清算期間の総労働時間に加算する必要があります。逆に実労働時間が185時間の場合は、25時間分の賃金を追加で支払う必要があります。フレックスタイム制の場合、法定労働時間の総枠を超えた分を時間外労働として扱います。よって、185時間働いた月の暦日が31日の場合は、185時間から総枠177・1時間を引いた7・9時間分を時間外手当(2割5分以上の割増賃金)として支払い、法定労働時間の総枠177・1時間から総労働時間160時間を引いた17・1時間分は時間に応じた賃金(割増賃金にしなくて可)を支払うことになります。の志向性や家庭の事情に応じて自由に労働時間が設定できるため、ワーク・ライフ・バランスの観点から労働者にとってのメリットは大きいといえます。また、企業側のメリットとして、通常の労働時間制であれば日によって業務の繁閑があっても、1日8時間・週40時間を超過した分は時間外労働として扱う必要がありましたが、フレックスタイム制では清算期間のなかで繁閑に応じて労働時間を調整してもらえばよいため、結果として時間外労働が削減されることがあげられます。また、柔軟な働き方をしたい労働者が増えているなか、人材採用や定着の面で有利になることもあげられます。制ですが、顧客に対応する時間が固定されていて、かつ長時間にわたるなど自由に労働時間を設定するのがむずかしい職種や社員には適用できないという点に留意が必要です。フレックスタイム制は、働き方に関する本人しかし、メリットは大きいフレックスタイム次回は、「春闘」について解説します。コアタイム総労働時間実労働時間総労働時間実労働時間不足休 憩不足コアタイムフレキシブルタイム総労働時間いつ出社してもよい時間帯◆ 総労働時間を超過した場合◆ 総労働時間に不足する場合エルダー必ず勤務しなければならない時間帯いつ退社してもよい時間帯55図表1 コアタイム・フレキシブルタイムの設定の例12:00フレキシブルタイム図表2 総労働時間を超過または不足した場合の賃金清算6:00出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」 155時間出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」 ※吹き出しは筆者加工10:00①不足した時間分 を賃金から控除または13:00160時間185時間超過した時間分の賃金を追加して支払②翌月の総労働時間に加算して労働させる(※)15:00※ただし、加算後の時間(総労働時間+前の清算期間における不足時間)は、法定労働時間の総枠の範囲内である必要があります。19:00■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典
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