1私たちはどこかで「体は疲れるけれど心は疲れるものではない」と思っていないでしょうか。特にこれまでの人生をがむしゃらに、あるいは心地よく走り抜けてきた人の場合、エルダー世代(50代以降とします)になったいまでも「心は疲れない」、違ういい方をすると、「気持ちでなんとかなる」と考えている人が多いと思います。私はカウンセラーとして多くの世代の方々を支援してきました。結論からいうと心も疲れるのです。また、心の疲れについてよく知らない人が多く、その対処を誤る人も少なくありません。本稿では心の疲れの本質とその対応方法を解説していきたいと思います。ダー世代でうつになることがあるのです。■心も疲れる︵疲労の3段階︶ど疲れているかを評価しにくい部分があります。そこで私は「蓄積疲労︵うつ︶の3段階モデル」を紹介しています(図表1)。寝れば元に戻るぐらいの疲れ感だと思ってください。んでいます。同じ出来事がいつもよりも2倍しんどく、2倍ショックに感じるような状態だと思ってください。まだ日常生活はにこにこと笑いながらこなせるのですが、いつもなら喜んで行く仕事にも、職場まで移動し、人に気を遣い仕事をこなすことの「負担」の方を強く(2倍)ところが現実には、そのような人でもエル心が疲れるといっても、いまの自分がどれほ疲労の第1段階は通常の疲労状態です。一晩疲労の第2段階を、私は「2倍モード」と呼■エルダー世代になるほど心の疲れに注意心の疲れとは「うつ状態」のことだと思ってください。心は疲れないと思っている人は、自分以外の人がうつ状態になることは知っていても、「自分はうつにはならない」と思っていることが多いのです。「自分は嫌なことがあっても、上手に気分を切り替えて生きてきた」、あるいは、「自分は複雑で困難な問題があっても逃げることなく真正面から立ち向かい、論理的に考察し、きちんと問題を解決してきた」と思っているでしょう。歳をとって問題解決能力はさらに向上したし、悩まない考え方も身につけた、だから自分は今後もうつっぽくならない、つまり心が疲れることはない、という考えです。たしかに、問題解決能力や柔軟な考え方を身につければ、心は疲れにくくなるでしょう。心だって「疲れる」働く高齢者の〝心の休養〟を考える下し園ぞ壮そ太た1ものう特定非営利活動法人メンタルレスキュー協会理事長11エルダー特集心と体の「休養」を考える解 説
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