エルダー2024年4月号
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よいでしょう。ですから歳をとればとるほど疲労のコントロールは重要になってきます。■大きなトラブルより﹁変化﹂への対応で疲れる蓄積疲労が悪化していくのには、まずは集中的な過重労働や、災害にあった場合などが考えられます。ただこれらの場合は、同時に体の方も疲れてくるので、自然に休養をとるケースが多いのです。実際に疲労の第2・3段階に悪化している人に多いのは、むしろこれといって大きな出来事はないが、小さな環境の変化が続いてしまっている、という方です。図表2は、ライフイベント、つまり日常的な出来事がどれぐらいエネルギーを使うかを、イメージ的に点数化した研究です。これらのライフイベントは、一つひとつがそれほど大きな出来事ではないのですが、それらが例えば一年の間に集中してしまうと、次の年に体調不良を起こすことが多くなることが知られています(ホームズらの研究、1967)。エルダー世代になると、仕事などの過重労働からは解放されることは多いと思いますが、介護や家計問題、子どもや孫の世話、自分や家族の健康上の変化、親や友人、ペットの死などに遭遇することが多くなります。また、定年後に転職、起業、転居などがある人も多いでしょう。一つひとつはそれほどたいへんなことではないかもしれませんが、これらの「変化」が集中し、知らない間に蓄積疲労が進んでいくのがエルダー世代の「心の疲れ」の典型だと思ってください。2心の(疲第れ2を段た階めをな感いじたためにら、)一番重要なのは、第2段階にさしかかったときに適切な休養をとることです。できなくても、うっすらとした不調を感じる人は多いものです。「なんとなく何をやってもおもしろくない」、「気力が低下している」、「ワクワクしない」、「嫌々やっている」。あるいは「イライラしている」、「被害妄想的に感じている」、「何事も悲観的に考えてしまう」、「自分に対する自信がなくなってきている」などです。くないようです。頭痛・関節痛などの痛みが強くなる人もいれば、不眠があらわれる人も少なくありません。病院に行ってもなかなか改善しないのがうつ状態からの体調不良の特徴です。■癒し系ストレス解消法いことをしてこのうっすらとした不快感を一掃してきました。「スポーツをする」、「旅行をする」、「友人や恋人と楽しい時間を過ごす」などの方法です。このようなストレス解消法を私は「ハシャギ系」と呼んでいます。第2段階では「疲れ」としてはなかなか自覚また、体調不良の方が前面に感じる人も少なさてこのようなときに、これまでは何か楽し心の休養のとり方を知ろう出典:Holmes,T.H.,Rahe,R.H.:The Social readjustment rating scale.J Psychosom.Res,11;213-218,1967配偶者の死離婚別居懲役近親者の死けがや病気結婚失業離婚調停家族のけがや病気妊娠性的困難家族の増加新しい仕事エルダー3837363531302929292826262524家計の悪化友人の死夫婦喧嘩の増加百万円以上の借金預金等の消滅仕事の責任変化子どもの独立親戚とトラブル個人的成功妻の就職・退職入学・卒業生活リズムの変化習慣の変更2320202019191817161515131211上司とトラブル労働環境変化転職百万円以下の借金睡眠リズムの変化軽微な法律違反転居天候趣味の変化宗教の変化社会活動変化同居人の変化食習慣の変化長期休暇クリスマス13特集心と体の「休養」を考える図表2 ライフイベントのストレス10073656363535047454440393939

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