ハシャギ系は、強い快感でうっすらとした不快をぬぐい去る対処法ですが、じつはその対処法自体にエネルギーを使ってしまうという欠点があります。エルダー世代がライフイベントで知らず知らずのうちに疲労をためてしまった場合、従来からのハシャギ系ストレス解消法をやってしまうと、そのときは一瞬楽しくても、それによって消耗して、結果として蓄積疲労を深めてしまうという悪循環に陥りがちなのです。エルダー世代の心の疲れに有効なのは、私が「癒し系」と呼んでいるストレス解消法です。癒し系のストレス解消法とは、昔から年配の方々が好んできた盆栽、俳句、散策、体操、ゲートボールなど、激しくないスポーツ、写真、映画、絵画、料理などです。ポイントは、それをやるのにあまりエネルギーを使わないこと。そしてある程度の快感もあり、それをやっているときだけは嫌なことを忘れることができること。また、例えばお金を使いすぎたり人間関係を悪くするなど、自信の低下や自責の念、不安をいたずらに刺激するものでないこと。この三つの条件を満たすものであれば何でもよいのです。どれが自分にしっくりくるかはやってみなければわかりません。いろいろ試してみてください。また、エルダー世代の心身や環境はどんどん変化していくので、5年前に有効であった癒し系のアイテムが、いまも有効であるかどうかはわからないのです。つねにいまの自分に合ったものを探す必要があると考えてください。■気合いを入れるのではなく、まず休養第2段階の不調を抱えたとき、ハシャギ系で気分を変えるだけでなく、自ら厳しい環境に飛び込んで自分に気合いを入れ直したり、修行や自己改革などを始める人もいます。若いときから親しんできた「克服体験、成長体験」で、自信を取り戻そうとしてしまうのです。ところが若いときならともかく、エルダー世代が第2段階の状態で、さらに自分を追いこむのは、あまり有効な対策とはいえません。さらに自信を失うだけです。これまで説明した通り、さまざまな不調は心の疲れであると認識してみることからスタートしてください。「疲れている」と認識できれば、あえて厳しい課題を自分に与えるなどということはせず、休む方向で対処できます。このとき、栄養などに意識が向かうかもしれませんが、効果があらわれるまでかなりの期間がかかります。刺激に対して2倍強く反応する第2段階で一番手っ取り早く状況を改善するのは、「刺激から離れる」ことです。いま「嫌だな」、「負担だな」、「避けたいな」と感じている仕事や人間関係や環境から、しばらく距離を置いてください。それだけでも十分大きな休養効果があらわれます。てみてください。第2段階になっていると睡眠の質はどうしても崩れてきているので、「ぐっすり眠る」ことをイメージしすぎると、いつまでも不十分な感じがして、上手に休養できていない気がして余計に不安になってしまいます。そこで現実的には、睡眠の質にこだわらず、とにかくいつもよりも1時間でも2時間でも長い時間の睡眠をとることを意識するとよいでしょう。を十分にとって、残りの時間は癒し系のストレス解消法をやって時間を過ごす、というのが、第2段階を感じたときの基本的対処法なのです。若い人なら、3日で休養の効果を感じられますが、エルダー世代になると、回復まで時間がかかります。まず2週間ほどそのような休養生活をしてみてください。もしそれで回復しない場合は、いよいよ第3段階になっているか、あるいはほかの病気になっているのかもしれません。専門家に相談するタイミングだと思ってください。そして、できるだけ睡眠をとることを意識し嫌な刺激や人間関係から距離をとって、睡眠14
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