864200246800246また、睡眠時間が十分であったとしても、睡眠の質の低さを感じる経験はだれもがあると思います。養調査では、2007(平成19)年度より、「睡眠で休養がとれていますか」という質問項目を採用し、国民の睡眠充足度を計っています。この「睡眠で休養がとれている感覚」は、さまざまな睡眠障害で低下することが知られていますが、近年、睡眠障害の有無だけではない全般的な睡眠の健康度を反映した、睡眠の質の指標であることがわかってきました。眠休養感」の有無を含めて解析すると、中年成人では睡眠休養感のない短時間睡眠(5・5時間未満)が死亡リスクを高め(相対危険度1・時間(8時間超)が死亡リスクを高める(相対危険度1・57倍)ことがわかりました(図表3)。4睡眠睡休眠養休感養を高感めをる高ためめるにた、めまにずは睡眠時間を適正化することが重要です。睡眠不足は睡眠休厚生労働省が毎年実施している国民健康・栄先に紹介したわれわれの調査研究でも、「睡死亡イベント発生率(%)(2)床上時間と健康リスク自身が眠ったと感じる長さは、しばしば実際に眠っていた時間の長さとはズレが生じ、特に高齢者においては実際の睡眠時間より自覚的な睡眠時間のほうが長く評価され、このズレが大きくなること自体が将来の死亡リスクを高めることが報告されています。われわれが近年行った研究では、中年成人(40〜64歳)は実際に寝ていた時間が短いこと(睡眠不足)が将来の死亡リスクを高めるのに対し、高齢者(65歳以上)では、実際に寝ていた時間の長短は死亡リスクと関係はなく、床上時間が長いことが死亡リスクを高めることがわかりました(図表2)。おそらく、先に述べた長時間の睡眠が健康リスクに及ぼす影響は、正確な睡眠時間を自覚するむずかしさから、必要以上に床上で過ごすことにより睡眠の質が低下し、日中の活動時間が相対的に減少することによって生じると考えられます。これらから、中年成人では最低6時間以上の睡眠時間を確保し睡眠不足を極力避けること、高齢者では8時間を超えて長く床の上で過ごさないことが推奨されます。3そも睡そ眠もの質質といとう健概康念リはス、ク量のだ関け連では評価しが養た感い低、主下の観要的因なと感な覚りにま基すづがく、評高価齢と者いのえ場ま合す、。※ Yoshiike T, Utsumi T, Matsui K, Nagao K, Saitoh K, Otsuki R, Aritake-Okada S, Suzuki M, Kuriyama K. Mortality associated with nonrestorative short sleep or nonrestorative long time-in-bed in middle-aged and older adults. Sci Rep. 2022 Jan 7;12(1):189. doi: 10.1038/s41598-021-03997-z. PMID: 34997027; PMCID: PMC8741976.図表2 睡眠時間・床上時間と死亡リスク10出典:Yoshiikeら(2022)※より作成・転載54倍)、高齢者では睡眠休養感のない長い床上(約5.5時間未満)(約7時間超)1012中間(基準)(約5.5−7時間)睡眠時間で3群に分類短時間長時間100806040201416(約6.5時間未満)10812追跡期間(年)短時間床上時間で3群に分類(約8時間超)1416長時間中間(基準)(約6.5−8時間)2024.416中年成人(40−64歳)追跡期間(年)高齢者(65歳以上)
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