エルダー2024年4月号
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むしろ長く床に留まること(過剰な床上時間)の方が睡眠休養感を低下させ、健康リスクとなります。加齢にともない必要な睡眠量が減少することから、知らず知らずのうちに床上時間過剰に陥っている可能性があります。また高齢者の多くは、体内時計の加齢性変化によって睡眠と覚醒のメリハリが低下し、夜は眠りが深まりづらく些細な刺激で目覚めやすくなる一方で、昼間に眠気を感じる時間が増えます。対処法としては、日中の活動量をできるだけ増やし、床の上で過ごす時間を8時間未満を目安に減らすこと、日中の仮眠も極力減らし、どうしても眠気が強いときのみ短時間(1日30分未満を目安)の仮眠にとどめることです。(1)日中の生活習慣日中はできるだけ活動的に過ごし、身体活動量を増加させることが重要です。運動の種類は問わず、あらゆる運動が中途覚醒を減らし、睡眠を深めるなど、睡眠の安定化につながります。運動は1日40分程度を目標とし、可能なかぎり毎日行うことが理想です。体力や健康状態に合わせて可能な頻度・強度で導入し、徐々に増やして習慣化させましょう。運動を行う際には、一人で行うより複数名で行うことで、より効果が高まるとともに習慣化の助けにもなります。運動は戸外で行うことで、日光による体内時計調整効果も得られます。も重要です。日中にたまったストレスは、スムーズな寝つきを妨げ、眠りを不安定にします。昼間のストレスは早めに解消するよう、特に夕方以降はリラックスできる環境を整えましょう。就寝前早めの時間帯に、ぬるめのお湯にゆったり浸かる入浴法はおすすめです。このような入浴によりリラクゼーションがうながされ、自律神経が安定します。また、体温が一時的に高まることで、入浴後の体温低下がうながされスムーズな入眠につながります。さらに、アロマやスローミュージックなど、心地よいと感じる環境を整えることも入眠をうながす役に立つでしょう。(2)寝室環境効ですが、夜間の光は睡眠を妨害する刺激となります。このため、入床前にテレビやパソコン、スマートフォンなどの画面を見続けることは避け、夜間は寝室をできるだけ暗くする必要があります。夜中にお手洗いに行く際に、足元が暗いと心配な場合、足元のみを照らす間接照明をストレスをためない生活習慣を心がけること日中の光は昼夜のメリハリを高めるために有危険危険安全相対危険度高低5睡そ眠の休ほ養か感のを要低素下させる17エルダー2.52.01.51.00.50.1(約5.5時間未満)出典:Yoshiikeら(2022)※より作成・転載短時間中間(基準)(約5.5−7時間)睡眠休養感なし長時間睡眠休養感あり2.52.01.51.00.50.1(約7時間超)(約6.5時間未満)95%信頼区間短時間中間(基準)(約6.5−8時間)(約8時間超)長時間中年成人(40−64歳)睡眠時間高齢者(65歳以上)床上時間特集心と体の「休養」を考える図表3 睡眠休養感と睡眠時間・床上時間が全死亡リスクに与える影響

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