エルダー2024年4月号
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また、フレイルは足腰の衰えといった身体的な問題だけではなく、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題も含まれます(図表1)。2サルサコルペコニアペとニはア、と加は齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを意味しており、ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarx/sarco)」と喪失を意味する「ペニア(penた造語です。サルコペニアを発症すると近い将来に介護が必要になる危険が高くなり、2016年には国際疾病分類に登録されており、疾患と位置づけられています。サルコペニアを発症するメカニズムには、加齢にともなう神経の変性やホルモンの変化、ミトコンドリア(筋肉の活動や発達、維持においても不可欠な細胞小器官)の機能不全などのほか、不活動や疾患(臓器不全、炎症性疾患、悪性腫瘍など)、栄養状態の悪化が原因となる場合もあると考えられています。3フレ休イ養ルおによ関び連食する生要活因として、疾患や加齢a)」を合わせによる活動の減少、筋肉量の減少、口の機能低下、低栄養などがあげられます。これらの要因が悪循環を形成するとフレイルの発生や悪化を加速させてしまいます。このことをフレイルサイクルと呼び、フレイルの予防・改善のためには、この負のサイクルを断ち切ることが重要となります(図表2)。そのためには、習慣的な運動や食生活の改善、積極的な外出による活動性の向上、適度な休養などといった生活習慣に気をつける必要があります。フレイルの予防のために良質な睡眠は大事な生活習慣のひとつとなります。適切な睡眠時間、ぐっすりと眠れたと感じる睡眠の質、夜間の中途覚醒の抑制、日中の眠気の防止などに注意することが大切です。睡眠の時間は短くても長くても、身体的フレイルの予防のためにはよくないとされており、1日6〜8時間が適切な睡眠時間の目安とされます。「よく眠れた」と感じられる睡眠の質が悪化することもフレイルの要因にもなるとされています。睡眠時間のみに気をとられずに、睡眠の質を高めるためにも、日中の活動時間の確保など、1日の生活全体を考えて、規則正しい習慣が大切となります。日中の積極的な身体活動の促進は、これらの睡眠の状態を良好にすることにもつながります。フレイルやサルコペニアの予防においては食フレイル・サルコペニア予防のための痛みi2024.420図表2 フレイルの悪循環対人交流・会話⬇閉じこもり⬆社会交流⬇知的刺激⬇うつ⬆※ 筆者作成口腔機能⬇活動量⬇認知機能⬇総エネルギー消費量⬇慢性的低栄養基礎代謝率⬇歩 行⬇骨格筋量⬇(サルコペニア)筋 力⬇加齢・疾病など認知・心理・精神的口腔(オーラル)身体的社会的要介護機能障害

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