エルダー2024年4月号
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お客さまの心に寄り添いながら元教員の女性販売員たちが活躍林 当社は父が名古屋で創業し、今年で67年になります。当初はランドセル以外の一般のカバンもつくっていたのですが、さまざまな変遷があり、いまはランドセルの製造に特化しています。売上げの80%が一般のランドセル、18%が幼稚園、小学校、高校などの学校特別注文のランドセル、残りの2%が大人用のビジネスカバンです。ランドセルの製造は要所を手縫いで行い、6年間使えるように頑丈であること、背負い心地を考慮しかつ軽く感じるものに仕上げるのが当社の特徴です。私はランドセル工業会の会長もしていますが、この工業会の会員企業は全国に33社というニッチな産業であり、なかでも名古屋市周辺に12社が集中しています。名古屋には名古屋鞄協会もあり、昔はランドセルを含むカバンメーカーが90社ほどありました。しかし、カバンづくりのノウハウを含めて中国での製造に変わってから安い商品が大量につくられるようになり、日本製は価格で負けてしまうので徐々に廃業する会社が増えました。いまでは名古屋のなかでもなんとか残っているのはランドセルのメーカーがほとんどというのが、現状です。林 以前は、売上げの大きな割合を委託販売が占めていましたが、それをやめて直接販売に重点を置くことにしました。販売員だけではなく、職人も店頭に立ち、お客さまの生の声を参考に、商品企画から製造、販売までを行う経営モデルに切り替えました。現在、社員は35人ですが、職人の製造部門が7人、そのほかに商品企画などを担当する営業企画や経理が14人、そして東京の渋谷店、名古屋本店、大阪の心斎橋店の直売店で働く販売員が14人います。パート社員は17人いますが、うち15人が60歳以上です。販売員のほとんどが60歳以上の女性で、うち65歳以上が9人、最高齢は70歳で2人います。  林 ですが、当社は意外と若いのです。きっかけい出したことです。「なんとか若手に技術を教えてほしい」と頼みこんで、一番若い当時ました。その後、その若手社員が当社の工場に教える形で技能を伝承しました。最初に技術を学んだ若手社員がいま33歳で工場長をしていますが、ほかの社員も30〜40代で一番年上が44歳です。員は70歳で、70歳以降は1年ごとに有期雇用契約を更新します。パート社員の勤務時間は9時半から休憩を1時間挟んで17時半までです。週4日勤務の人もいますが、週2〜3日勤務の人がほとんどです。長く勤められていじつは、業界の職人さんは高齢者が多いのは80歳の一流の職人さんが「辞めたい」といで2人の先輩に教え、その先輩がさらに4人当社の定年年齢は65歳ですが、パート社―貴社ではランドセルの製造・販売を手がけられていますが、あらためて事業内容や業界の現状について教えてください。―ランドセル事業ではどんな工夫をしていますか。また社員はどんな仕事と役割をになっているのでしょうか。とですが、貴社の高齢者雇用制度と働く人たちの活躍ぶりについて教えてください。―パートの販売員は高齢者も多いというこ2024.42株式会社村瀬鞄行 代表取締役社長林 州代さん25歳の社員が3年間弟子入りし、技術を学び

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