エルダー2024年4月号
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■■■■■■佳■宏■作業長に、古川さんに教えるにあたって工夫古川さんの話を聞いて、岩佐プランナーは次のように語りました。「仕事をしながら体が鍛えられたという言葉が印象的です。自分に適した仕事をされることで、より健康的な日々を送っていらっしゃると感じました。また、古川さんは未経験で入社されて一から仕事を覚えたということで、ご本人の努力とともに、職場の方がていねいに仕事を教えられたのだろうと思います。高齢社員が力を発揮して長く勤めるためには大事なことではないでしょうか」古川さんの上司で入社時に指導役も務めた熊■野■したことをたずねると、「全部まとめてではなく、作業の流れとおおまかな手順から覚えてもらい、細かい部分はその都度伝えるようにしました。よく気がついて自分から動いてくれますし、今後もけがに気をつけて、長く働き続けてもらいたいと思っています」と話してくれました。勤続5年目の永■田■義■和■さん(71歳)は、同社の最高齢社員です。古川さんと同じくごみ回収を担当しており、回収車の運転業務をフルタイムでになっています。かつては長距離トラックのドライバーでしたが、職場の移転にともない退職し、日高トータルサービスに入社。長距離ではなく、町内を走る現在の仕事に出会いました。「ごみステーションの場所や仕事内容を覚えるまでたいへんではありましたが、自分で選んだ道なので迷惑をかけてはいけないという気持ちで取り組み、現在まで続いています」と話す永田さん。つねに安全運転と健康的な生活を心がけているそうです。「自分が納得できる仕事をしていることが、健康によい影響を与えているように思います。もし働いていなかったら、もっと老けこんでいたかもしれません。現在の仕事は、毎日同じことをしているようで、じつは違います。本や新聞紙、雑誌などきちんと積み込まないと積みきれなくなることもあり、つねに頭の体操です」とほがらかに話します。運転業務に就いていることから、体調の変化に特に注意しているものの、自分では気づかない場合を考え、「『仕事に何らかの影響がみられると判断したら、いつでもいってください』と社長に伝えています。自分でも不調を感じたら、すぐに相談しようと思っています」と心がまえを話します。佐野社長は、永田さんの仕事ぶりに敬意を表すとともに、運転業務については健康状態を確認して対応しているとのこと。社長や上司、仲間と信頼関係が築けていることも、永田さんが安心して仕事の能力を発揮できる重要な職場環境の一つとなっています。地域や暮らしに密着した仕事を手がける同社には、現在の事業に関連する新たな仕事の依頼も多く、佐野社長は「ニーズに応えたいという思いはつねにありますが、新しいことを始められるほどの体制が整っているわけではありません」と人材確保の悩みを語ります。岩佐プランナーは、「新規の仕事を考えるには、現在の人材が活かせる仕事内容から考えていくのも一つの方法です」とアドバイスをしていました。地域のインフラをになう同社の仕事は、今後、その重要性をさらに増していくことでしょう。佐野社長は、「現在の仕事を安全にきちんと続けることと、今後も地域から必要とされる会社であり続けるよう、そして高齢社員の力をよりよく活かせるように、現行制度の充実を図っていきたい」と抱負を語ってくれました。(取材・増山美智子)長距離トラックドライバーを経て、現在は町のごみ回収車を運転する永田義和さん39エルダー

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