エルダー2024年4月号
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〈おわり〉してそのようなことはありません。大切なことは、自分のやりたい〈利己〉と、仕事仲間・チーム・会社のため、顧客・社会のためという〈利他〉の両方を同時に満たしている接点を見出していくための対話です。佐野さんは、「自分のためだけだと『自分勝手』となって共感を得られませんし、相手のためだけでは『自己犠牲』となり継続が困難になります。シニアが主体的に取り組むためにこそ、じつは〈利他〉だけではなく〈利己〉も大切なのです。そのような考えをリーダー・メンバーが共有し、信頼関係ができている職場が『心理的安全性が高い職場』といえると思います。私の職場は◎です!感謝しています」と笑顔で話してくださいました。佐野さんのいう「『いままでのように責任ある仕事を任せてはいけないのでは』という思いこみ」を、お互いに外して、敬意は持てども遠慮はせず、ぜひ心理的安全な対話をしてみましょう。シニアの働きがいとだれもが率直に、思ったことをいい合える状態」をいいます。「話しやすさ」、「助け合い」、「挑戦」、「新奇歓迎」の4つの因子を高めることでチームに心理的安全性を醸成することができます。佐野さんに、いまのチームで高いと思う心理的安全性の因子を聞いたところ、「話しやすさ」、「助け合い」が高いとおっしゃっていました。シニアはチームにおいて「必要とされているかどうかに不安を感じていることが多い」ので、リーダーやメンバーから声をかけてもらうと居場所を実感できて、心理的安全性を感じられます。いきなり「対話」はむずかしいと感じる方も、まずは挨拶や「いつも◯◯してくださって、ありがとうございます」とお礼を伝えるところから、コミュニケーションを始めてみてはいかがでしょうか。最後に佐野さんから、多様な年代のチームで心理的安全性の高いチームをつくる秘訣をうかがいました。「心理的安全性は、リーダー・メンバーとの信頼関係を実感できるかどうかが重要と考えます。その信頼関係はコミュニケーション濃度(互いに相手を知る)と、一人ひとりの失敗許容度に影響されるかもしれません。シニアと若手、年代の異なるメンバーがそれぞれの得意なことでお互いに協力・フォローし合えるチームは、心理的安全性が高いチームなのだと思います。思いやりですね」(佐野さん)実際、弊社ZENTechの調査でも、心理的安全性は、信頼関係やエンゲージメント(働く人のやりがい)が、ポジティブに関連することが分かっています。その一歩目は、じつは遠慮して「責任ある仕事を任せない、補助的な仕事のみを任せる」ことではなく、むしろ遠慮なくお互いにリクエストする、困っていたら助けを求める、新しいアイデアや情報を共有することなのです。世代を超えて、心理的安全性の高い組織・チームをつくるため、あなたから「ぜひ、◯◯さんに、これをお願いしたいのですが…」と、リクエストしてみるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。佐野さんと上司(部長)の岸本裕さん(右) (写真提供:株式会社ポーラ)多様な人材を活かす多様な人材を活かす45エルダー心心理心的全全全安全全性性のの高い職場づくり高い職場づくり6心理職的場安の全心性と理は的「安組全織性やチームのなかで、

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