■■■■■■秋■闘■と呼んだりしますが、多くの企業は春に1今回は春■闘■について取り上げます。毎年、春になると報道などで聞く機会が増え、労働者・経営者にとっても関心の高い事柄ではないでしょうか。春闘とは何かについては、労働組合(労組)※1の全国中央組織(ナショナル・センター)である連合(日本労働組合総連合会)の説明が分かりやすいので引用すると「労働組合が労働条件について要求し、使用者(経営者)と交渉し決定することをいいます。大手企業を中心に、労働組合(略称:労組)が企業に要求を提出するのが2月、企業からの回答が3月頃であることから、『春闘』と呼ばれているのです」とあります。要は賃上げや福利厚生などの労働条件に関する話合いと決定を春にまとめて行う行為ですが、時期が春なのは、3月末決算・4月新事業年度開始というタイミングに合わせ、賃上げ※2や、人事関連の制度運用開始などを4月に実施する企業が多いことに起因しています。日本以外の企業は決算期が12月の会社が多く、4月を起点に労働条件の見直しを図ることが一般的ではないことから、春闘は日本独自の慣行ともいわれています。秋にも同様の労使交渉がある場合は年間の処遇を決定する傾向にあります。連合の場合、前年の8月ごろから検討開始、12月上旬に春闘の全体方針を発表、その方針に基づき1月下旬から2月中旬にかけて産業別組合(産別)が具体的な要求を決定します。一方、経営者側は、1月中旬に経団連(日本経済団体連合会)が交渉指針を出し、1月下旬には、連合と経団連が賃上げなどお互いの方針を説明する労使フォーラムが開かれ、事実上春闘が開始となります。この後、企業ごとの組合(単組)は産別の要求に基づき要求書をまとめ、2月中旬をめどに企業へ提出します。企業側は経営層や人事・総務部門が中心となり、要求に対する会社の考え方と、どの程度要求に応じるのかを検討し、労組側に3月中旬をめどに回答します。要求と回答にギャップがある場合には、経営側・組合側の代表者を中心に労使交渉を重ね、おおよそ3月末までに妥結していきます。手企業の場合は横並びのスケジュールで実施されます。横並びで実施するのは、労組側は単独春闘の流れをもう少し詳しく見ていきます。なお、これらの要求・交渉・妥結は、主要大春の交渉で年間の処遇が決定されるスケジュールは横並び※1 本連載第28回(2022年9月号)「労働組合」をご参照ください。 https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202209/#page=50→※2 賃上げ…… 賃金を引き上げること。賃金表にのっとって個人別に毎年賃金を引き上げる定期昇給や、賃金表と対象者を一律に引き上げるベースアップなどが含まれる52株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。第45回「春闘」■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典
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