エルダー2024年4月号
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広■■瀬■克■■利■■ 著/須■田■敏■■子■ 著/中央経済グループパブリッシング/吉■■川■■幸■■枝■ 著/アスコム/1540円大器晩成型キャリアのすゝめジョブ型・マーケット型人事と賃金決定人生は80歳からがおもしろい人的資本経営・賃上げ・リスキリングを実現するマネジメント働き方に対するとらえ方の多様化などから、欧米で主流とされるジョブ型人事への関心が日本でも高まり、日本で主流とされる「メンバーシップ型」と呼ばれる雇用方法から、ジョブ型へ切り替える企業が増えてきているという。さらに本書の序章で著者は、政府が2023(令和5)年6月、「新しい資本主義」の柱として、「リスキリング(学び直し働市場改革」、「職務給の導入」(=ジョブ型人事)を一体的に進めることを掲げたことについて、これらは互いに補完性を有するものであるため、「一体に進めることの方針は正しいものであろう」として、「日本でもジョブ型人事へ本格的に転換する機運が出てきているようだ」と説明。本書は、豊富なデータをもとにジョブ型人事の実態を紹介し、ジョブ型が普及するとどのような変化が起こるのかを概観。ジョブ型人事になると、マーケット型人事となり、これらは一体となるという。そしてジョブ型・マーケット型人事への転換は、人的資本経営の実現や賃上げ、リスキリングなど、現在の日本の課題を解決するものになると提唱する。加えて、日本企業5社のジョブ型人事の導入事例を紹介。実践内容と変化に触れている。幼いころから科学者になりたかった著者は、大学院を卒業後、化学会社の研究部に就職した。希望を叶えたものの、3年後に異動を命じられ、生産や人事の仕事を担当し、その後は営業開発課長になるなど、やりたくない仕事や向いていないと思う仕事をする日々に。それでも全力を注いでいると、そうした仕事もだんだんおもしろいと感じられるようになっていった。やがて転機が訪れ、43歳で研究開発会社を起業。会社員時代の多様な経験が活きて、外回り営業や経理、事務を自分で行うことができた。会社が成長するなかで、研究への思いがよみがえり、55歳で大学院を受験し、入学。ここでも多様な経験をして、農学博士号を取得した。場を成し遂げた。本書を出版する時点で、著者は81歳。すでに第一線を退き、「すばらしい人生を過ごせたと感じている」と晴々とした気持ちを綴っている。道のりは決して平たんではなかったが、すべての経験を糧とし、さまざまな知見とスキルを自身に積み重ねていった。著者の仕事観は、現在の役職などに不満を抱えていたり、キャリアに悩んだりしているビジネスパーソンに有用なヒントを与えてくれるだろう。)」、「転職しやすい労著者は、レストラン経営などを手がける会社の現役社長で、本書発行時の年齢は88歳。テレビ番組などにも出演して人気者になり、全国にファンがいるという。幼少時に苦労をしながらも、料理上手な母に学び、生き方のヒントをもらい、飲食業を始めて成功している。本書は、経営者として、人として、さまざまなことを学び経験してきた著者が、80歳を超えても成長し、人生を輝かせる知恵を伝授する。考え方やお金、健康など多様なテーマを取り上げているなかで、特に興味深いのは、「『80歳はもう働けない』という固定概念を外したほうがよい」として、時代の変化をとらえて自らの考え方を変え、「ずっと働くこと」を読者にすすめていること。歳をとって働き続けることは「大変」としながらも、「生きがい」を見つけることは「それ以上に大変」だという。「しかし働くことで、だれかに必要とされていることを感じられることは、生きる力になる」と働くことの意義を語る。また、「雇ってくれるところがない」と嘆くのではなく、自分のペースでいいから、少しでも歩いて行動しようと呼びかける。著者が目の前で話しているような文章には、生涯現役で働くためのヒントとエールが満載だ。幻冬舎/1650円3190円5776歳で上場を果たした遅咲き社長エルダー76歳のとき、起業した会社は東証マザーズ上ジョブ型人事の実態と、日本企業の導入事例をその後の状況もふまえて紹介76歳で起業。経験を糧とし、知見とスキルを積み重ねていく姿に学ぶ生涯現役で働いて人生を輝かせるシニアの生き方、考え方に学ぶ

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