エルダー2024年4月号
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(インタビュー/溝上憲文、撮影/上木鉃矢)職人の補助的な作業にパート社員を活用より効率的で安全な作業環境を視野に入れるいます。わからないところがあればくり返し教えていますし、「認知症予防になる」といってくれる人もいます(笑)。また、年1回の集合研修にかぎらず、電話やオンライン会議を通して学んでもらっています。やはりペーパーレス化も含めて業務を効率化していくためにも新しいことを取り入れていかないといけません。エクセルを使って集計したほうが便利ですし、高齢者にも習得してもらうようにしています。林 じつはお客さまが少ない時期はパート社員にも工房でランドセルの製作を手伝ってもらっています。完成までの工程はいくつかに分かれ、型起こしやミシンの操作などは職人でないとできませんが、肩のベルト部分だけつくるとか、糊で貼る仕事など補助的な作業をパート社員にしてもらいます。その際、例えば黒のランドセルに黒い糸を通すような作業は老眼になると見えにくくなります。そのために手元を照らす照明器具を入れようかと考えているところです。また、本来は立ち作業が効率的なのですが、体への負担を減らすためどうしても座っての作業になります。もっと椅子を高くして作業ができるようにしたいと考えています。林 そうですね。経営者を含めて高齢化が進んでおり、後継者がいないといった問題もありますが、職人の高齢化も深刻です。70〜80代の職人も多く、60歳なら若いほうです。名古屋市周辺にある12社のなかには、数年先に廃業する会社も出てくるかもしれません。一方で、少子化で子どもの数も減っていきます。当社も年間の生産量は維持したいと考えていますが、減る分については海外での販売も視野に入れています。日本のランドセルは、子ども向け人気アニメのなかでも描かれているので、海外でもよく知られており「おしゃれだ」とか、「かっこいい」といわれ、インバウンドで買いに来るお客さまもいるほどです。そこで中国、ベトナム、アメリカをはじめ海外市場向けの展示会を開催するなどしてアプローチしていま。―林 理念は「笑顔を生み出し愛される企業を目ざして」です。不思議な話ですが、うちに来られるお客さまはみなさん「ありがとう」といって買ってくれるのです。「こちらこそ購入していただきありがとうございます」という気持ちですが、「いろいろ説明してくれてありがとう」といって帰られます。がっています。人に感謝され、喜ばれる仕事であり続けたい、と私はつねに社員のみなさんに伝えています。やはり「笑顔」でしょうか。当社の企業感謝されることで仕事のやりがいにもつな―しかし、年を重ねるにつれ物が見えにくくなるなど、身体的な衰えもあるかと思います。注意していることは何かありますか。―貴社の職人さんは比較的若いですが、ランドセル業界は高齢化が進んでいるのでしょうか。活きと働くための秘訣を教えてください。最後に、高齢社員を含めて、社員が活き2024.44株式会社村瀬鞄行 代表取締役社長林 州代さんす

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