エルダー2024年4月号
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「当社が引き受ける仕事は、価格よりも、仕事をきちんとやってくれることを重視するお客さまからのリピートが多いのが特徴です」橋本さんが特に得意とするのが、古くなって壊れた雨どいの修理。壊れた部材がすでに廃番品で、ほかの業者に頼むと全取替えとなり高額になってしまうような場合に、橋本さんは新たに設計したり既製品を改造して「変換継ぎ手」をつくり、壊れた部材と交換することで、コストを数分の一に抑えることができる。「つくる手間はかかりますが、お客さまからお金に代えられない信用を得られ、その後の仕事のリピートにつながっています」橋本板金工業所は1969(昭和44)年に橋本さんの父親が設立した。橋本さんは工業高校を卒業後、同社にすぐ入社せず、東京の自動車部品メーカーに就職した。「一度東京でスーツを着て働いてみたい、というのが動機でした(笑)。ただ、いまではその会社で生産技術や品質管理、会社の組織などを勉強できて、よかったと思います。4年後に父から『戻れ』といわれ、父のもとで働き始めました」当初は板金のことを何も知らなかったため、職業訓練校に通って技術を一から学んだ。「父は自分でもやればできるのに、仕事を受けたらほかの職人に外注するのが基本でした。そのため、私はそういう職人さんたちの仕事を見よう見まねで自然に覚えていった感じです。もともと模型飛行機づくりが好きで、自動車部品の会社にも勤めていたので、技術の習得には苦労しませんでした」バブルが弾けた後は仕事が減少し、一時は月に1〜2件しかない時期もあった。そんな時期に父親から経営を引き継いだ。「手先は自分で責任を持って仕事をし顧客の信頼を獲得折り台に板を載せ、拍ひょう し ぎ子木で叩いて折り曲げる、板金の基本作業。社員の田たたか隆ゆき幸むら村さん(右)は「一から十までだけでなくプラスαまで教えてくれます」と話す62「普段から職業訓練校で教えていると、やり方が頭に入っているので、部材の設計・製作も半日程度の短時間ですませることができます」

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