エルダー2024年5月号
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一般社団法人働く人の健康と安全を守る会会長 要22一です。労働衛生の3管理高野賢一郎高齢労働者の健康づくりに向けて邦では70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となるなど、60歳、65歳を超えて働くことがあたり前になりつつあります。世界のどの国も経験したことのないほどの少子高齢化が進み、企業においても高齢労働者の転倒や腰痛などの労働災害が増えてきています。放っておけば、これから悪化の一途をたどっていくことが予想されます。つまり、現代社会においては、どの業種・企業においても従業員の高齢化にともない増加する転倒や腰痛などの労働災害防止対策が必要なのです。ご存知のように高齢になるにつれ体力や感覚が低下しますが、多くの従業員は自身の変化に気づけず、無理な働き方をしています。しかし、彼らにはその意識は薄く、いつまでも若いときのように仕事を進めてしまうようです。労働災害防止のためには、自身の体力低下に気づいてもらうことが重般的に労働災害防止と生産性向上のために労働衛生の3管理(健康管理、作業管理、作業環境管理)がありますが、本稿では、読者のみなさんの会社において高齢労働者が長く安全に働くことができるための健康管理(体力や感覚の低下に気づかせる従業員の運動機能のチェックおよび対策)をご紹介します。高齢労働者の特性を知り、従業員らにとって効果が高く、取り組みやすい対策から実践していきましょう。覚の低下、体力の低下、そして認知機能の低下があります。調節する能力の低下、視野中心の左右領域を識別する能力の低下、モノを正確に識別する能力の低下、距離を把握する能力の低下、そして明暗の順応力の低下があります。これらの対策として、暗い場所をつくらない、標識には大きな活字を使用する、危険個所には目立つ標識をつけ、ブザーなど音でも示す、PCモニターの解像度を高くし、画面を大きくする、そしてコンピューター作業に適したメガネを使用するなどがあります。般的な高齢労働者の特性として、視覚や聴視覚の低下としては、距離に応じてピントを聴覚も低下します。特に高音ほど聞こえない11特集シニアの活き活き職場づくりー安全・健康確保を進めようーエルダー11本はじめに33一高齢労働者の特性解説2

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