一つひとつの工程、作業負荷をエルゴノミクスなどの指標をもとに評価■■として定年前と同じ部署でフルタイム勤務を希望し、働き続けているという。シニアパートナー数は、2024年4月時点で、正規社員全体の約1割ほどだが、今後はこの割合が高くなっていくことが見込まれている。人事・渉外部安全健康管理課の林■田■一■男■課長は、「少子高齢化の進展、働き方の多様化など、急激に変化していく社会に柔軟に対応し、より働きやすい職場づくりを実現していくため、現在当社では『多様な人財が活躍できるスマート工程の実現』を目ざして、プロジェクトを進めています」と、シニアパートナーをはじめとした多様な人財の活躍に向け、新たな取組みを計画的に進めていると語る。「スマート工程の実現」とは、生産性や安全性の向上を求めるだけでなく、個人の能力や希望にマッチした働き方で、一人ひとりが働きやすい環境を実現することだという。「当社の車づくりは、すでにある程度自動化されていますが、人の手が必要な要所が存在します。そこで、負荷の高い作業はロボットへ移行させることで、作業にともなう身体的な負担の軽減を図るとともに、短時間勤務やフレックス勤務の活用、休暇を取りやすい職場づくりなどを推進しています。また、技術の効率的な習熟に向けた取組みや作業工程の再検討なども行っています。例えば、ある工程にAさんとBさんがいて、従来は同じ作業を同じように遂行してもらっていましたが、AさんとBさんの能力に異なる特徴があるならば、それぞれの能力がより活かせるような作業を選択できる工程設計を検討していく計画です」(林田課長)スマート工程の実現により、女性や高齢社員をはじめ、多様な人財が活躍し、働きやすい職場にしていくことを目ざしている。スマート工程の実現に向けて同社では、まず、すべての作業工程を一つひとつ洗い出し、エルゴノミクス(人間工学)に基づく指標によって、身体にかかる負荷の調査を行った。さらに、それらの作業を、筋力のある若い男性ではなく、女性や高齢者が行う場合の身体的負荷や安全性をかけあわせた、より厳しい指標を用いて負荷の評価を実施。負荷の大きい順に「赤」、「黄」、「緑」に色分けして作業工程ごとの負荷を判定し、最終的にはすべてを「緑」にすることを目標にして、体力、感覚器(触る、見るなど)、体勢、精神面など、さまざまな視点からの負荷を、スマート工程のなかで考えながら、必要な改善点を探り、できるところから具体化して取組みを進めているという。「なかには、車のつくり方そのものを変えないかぎり、改善はむずかしいといった工程・作業もありますが、例えば『しゃがみこむ』という動作による負担を軽減するために、いすを導入し、座った状態で作業ができるようにするなど、すでに改善を実現している工程もあります」(林田課長)た精神的負担が大きい仕事も、自動判定装置を導入して工程ごとに品質を判定することで、人による誤判定を防止し、精神的負担を軽減していく取組みも進めているという。重視しており、一人ひとりの特性・特徴に適した工程を考えていく。例えば、出産・子育てにより短時間勤務を行っている社員に対しては、その勤務時間のなかでできる仕事を担当してもらっていたが、スマート工程では、短時間勤務でもしっかりと働きがい・やりがいを得られる職場づくりを目ざしている。実践例もある。例えば、育児中で短時間勤務を利用している社員と、同じく短時間勤務を利用また、品質チェックなど、人の目で行っていスマート工程の実現では、仕事のやりがいもすでにトライアルではあるものの、取組みの2024.516■
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