上層部から一般社員まで健康経営の認知を高める教育環境を整備効果を実感しています」労働災害の防止に向けた、現場の作業環境の改善については、各店舗の現状にあわせて、店舗ごとにルールを変えて運用を行っている。例えば、調理場の油にまみれた床から、更衣室のロッカーに向かう動線は、油でべとべとになり滑りやすくなる。そこで、その動線にマットを敷くなど、実態に合わせた運用を行っているという。「店舗ではみんな、動きながら仕事をしており、各店舗によって労働災害が起こる場所は異なります。衛生委員会で報告のあった労働災害については、一つひとつ見直しを行います。改善点はそこからしか見出せません」(蓮見副部長)そのほかにも、10リットルのビールの空樽を5段まで積上げ可能としていた社内ルールを見直し4段までとしたり、割れたグラスで手を切らないよう、調理用の手袋と軍手を併用するなど、けが防止のルールを策定し、徹底することを呼びかけている。2023年からは、社員の健康意識を高めるための社員教育を積極的に行っている。年に10回実施している人事研修では、プログラムの終盤に30分ほど時間を設けて健康関連の動画を視聴するほか、活動の旗振り役として「健康アンバサダー」が発足。各拠点で任命された衛生委員会のメンバーが3カ月に1回、グループ全体の勉強会に参加して知見を深め、勉強会で得た若手から高齢社員までの健康づくりに役立つ情報を、社員に伝える役割をになっている。また、取締役会、経営会議にて四半期ごとに健康経営について活動報告を行い、上層部に認知してもらうほか、毎年実施している全国拠点の管理職が招集される会議では、健康経営をテーマにした講義を行っている。これまで利益追求型の教育一辺倒だったが、社員の健康管理を経営的な視点でとらえ、社員の健康を保つことが、最終的には会社としての利益につながる健康経営の考え方と、その実践の重要性を上層部・管理職に対しても教育する環境が整いつつある。ニアの健康チェック」を、できるだけ対面の面談に切り替えていく方針だ。「直接対面して話をすることで、さまざまなコミュニケーションが生まれると思いますし、健康に対しても、労働災害防止についても、社員全体のリテラシー向上のために、人事が店舗を巡回しながら面談をしていきたいと思っています」(武川さん)リングの数、機会を増やしていく方針だ。「気合や根性で乗り切れる風潮があった時代のように『そんなの我慢だよ』ではなく、きちんと検証すること。これを毎月行う衛生委員会で拾い上げ、スピード感を持って行うことが、成果につながっていると考えています。まだ始まったばかりの取組みですが、継続して取り組んでいきます」(蓮見副部長)けに、あらためて社内で取組みが認知され、高齢社員をはじめ、社員に対する期待や思いが届き始めている。社外で得た評価が、働く社員たちに認知され広まることで、よりいっそうの取組みが展開されることを期待したい。今後は、リモートで実施することもあった「シ労働災害防止対策については、引き続きヒア今回の「SAFEアワード」の受賞をきっか2024.522軍手の上に調理用の手袋を重ねて切創を予防
元のページ ../index.html#24